何十年経っても忘れられない不思議な体験をしたことがあるだろうか。投稿を寄せた60代の男性は20代前半の頃、建設業界で仕事をしていたときにそんな体験をしたという。工事開始の準備のため某県に向かったが、泊まる場所がなかったため宿を探すことになった。(文:長田コウ)
「今のように簡単にインターネットで調べることもできないので、電話帳で近くの宿を探して予約しました」
「『ごめんください』と言うと奥から老婆がでてきました」
その夜、予約した宿に向かうも、なかなか見つからない。近辺を2~3周して、ようやく見つかったという。「普通の古い民家のような所」で、詳細まではっきりと覚えていると語る。
「玄関を開けると土間があって、2畳程の待ち合いがありました。『ごめんください』と言うと奥から老婆がでてきました。待ち合いに上がると隅には四足の古いテレビ。そして、障子を開けると回廊のような濡れ縁が小さな坪庭を囲ってます」
「正面に階段が見えましたが昇り口に何故か花が置かれ、2階の部屋の入口は雨戸で塞がれていました」
入ってから不思議な点ばかりが目に付いたが、男性は障子を開けて出るとすぐ左へ案内されたそう。正面には、むき出しの小便器が見えるトイレがあり、そこを右に曲がったところが男性の泊まる部屋だった。部屋に入ってからも違和感は消えない。
「部屋に入ると6畳、8畳の続き部屋。6畳の部屋に座卓と何故か鏡に布の掛けられた鏡台、奥の8畳には布団が敷かれてました。何というレトロ過ぎる旅館。私は来たことを後悔しましたが今更帰ることも出来ず、その日は泊まりました」
その夜は「電気もテレビもつけたまま」寝たという。本当は3泊する予定だったが、「急用ができた」と言って翌朝すぐにチェックアウトした。当時の心境をこう明かす。
「これ以上そこに泊まることは出来ませんでした。怖すぎます」
しかし、話はこれで終わらない。本当の恐怖体験はここからだった。
「後日、もう一度その旅館を探そうとしましたが、どれだけ探しても見つけることが出来ませんでした。壊された跡もありません。私はいったい、何処に泊まったのでしょうか? 幽霊体験ではありませんが、40年以上経った今でも忘れることのできない恐怖体験です」
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