ビジネスパーソンの力は「人間性知能HQ」で測れる!? 脳科学者・澤口俊之氏が「脳力」の鍛え方伝授
澤口氏によると、HQとは「目的・夢に向かって、社会の中で協調的に生きるための脳力」とのこと。未来である目的や夢に向かって、どのように計画を立てて努力できるかということにもつながる。
これは人間特有の脳力で、いま脳科学においてもっとも重要とされているという。HQは額のすぐ後ろ側にある前頭前野という脳の場所の知能で、領域ごとに違った働きをしている、他のそれぞれの脳領域の力をうまくコントロールする役割を担っている。サッカーでいえば、まさに監督。全体のパフォーマンスをいかに高められるかは、ここに掛かっている。
HQが高い人は仕事で成果を出し、同じ会社で長く勤めながら指導的立場などの高度な職に就く可能性が高まるという。企業内評価や年収も高い傾向があるそうだ。
ただしHQが高い人は勉強もできるが、高学歴でもHQが低い人はいる。「新入社員がすぐに辞めてしまう」という悩みを抱えた都内の一流企業の社員を澤口氏が調査したところ、「HQの低さ」が共通点としてあがったという。
それではHQは、いったいどうやって測ることができるのか。澤口氏は簡単なテスト方法を紹介。紙に書いた数字を一瞬見せ、その後 記憶した数字を見た順と逆に言えるかどうかをテストする。例えば「2」「5」「7」「4」と順に数字を出されたら、「4」「7」「5」「2」と答えというもの。何桁の数字を逆唱できるかによって、脳の働きの程度がおおよそ推定できる。
優れた起業家の中には「8桁以上」できる人も
澤口氏は大学生の講義を受け持つとき、一番初めにこのテストを行うという。4桁までしかできない学生は「意欲が低く、好奇心も乏しい」。就活にも消極的だそうだ。一方、6桁以上できる学生は「意欲が高く、好奇心も高い」。就活にも積極的に臨む傾向があるという。優れた経営者・起業家の中には、8桁以上できる人もいるそうだ。
テストでHQが低いと分かったら、どうすればいいのか。澤口氏が提案したのは「脳トレ」ではなく、意外なことにジョギングやウォーキングのような「有酸素運動」だった。脳科学的な標語としては「脳トレより有酸素運動」となっているという。
その理由は、脳が多くの血液を必要とする器官だから。血を送り出す心臓が弱ると、脳機能も低下してしまう。血流を良くするためには有酸素運動が重要で、運動する人ほどHQが高く、記憶力や方向感覚を司る海馬も大きくなる傾向があるという。
HQの低下は20代から始まってしまうが、有酸素運動にはこれを防ぐ効果もある。運動しない青年とよく走る高齢者のHQのレベルを比べたところ、ほぼ同じだったというテスト結果も。年齢による老化の部分は、有酸素運動でカバーできるのだ。
オフィスに「可愛い写真」を置くと効率アップに
有酸素運動以外にも、食事や栄養で改善できる点もある。適度なアルコールやベリー類、ダークチョコレートを摂取することもいい。
コーヒーを1日3~5杯飲むことも認知症予防にも効果的だが、緑茶はさらに効果が高く、1日2杯で良いという。血中ホルモンのレプチンを高めるために、亜鉛と銅を一緒に摂るのも良く、澤口氏は銅製の鍋を使ったカキ鍋を勧めていた。
セミナーでは脳に良いオフィス環境も紹介。個人ですぐに取り入れられそうなものとして、動物や子どもなどの可愛い写真を見ることを勧めた。仕事の効率アップにつながるそうだ。
オフィスの香りも重要だ。オフィスが嫌な匂いだと脳の機能はガクッと下がってしまうため、思考や記憶力を高めたければシナモン、疲労感を緩和して注意力を向上させたいならペパーミントなど、用途にあった香りを用いることを勧めていた。
「夢を持つこと」でストレス解消。長生きの効果も
また、ストレスによって脳機能は停止し、老化が進行してしまうため、簡単にできるストレス解消法を7つ紹介していた。
1.スクワットをする(幸せホルモンが出る)
2.好きな香りを嗅ぎながら良い睡眠をとる
3.ゴシップ(悪口)を他人と共有する
4.自分の顔や身体を鏡で見る
5.寝る前に手を洗う(嫌な記憶が消え、良い睡眠に)
6.ボーっとする(脳が休まり、情報処理能力が高まる)
7.夢を持つこと
この中で澤口氏が最も進めていたのは、7番目の「夢を持つこと」。夢を持っている人は平均7.1年長生きするという調査もあるという。「夢を持つことは人間特有。どんなときにも持っていて欲しい」と語っていた。
なお、今回のセミナーは、野村不動産が展開する、新時代のビジネスリーダーたちのニーズから生まれた中規模サイズのオフィスビル事業、「プレミアム・ミッドサイズ・オフィス」の18棟目である「PMO平河町」の竣工を記念したものだった。
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