「長年に渡って営業実績トップ」だという男性はある金曜日、本部長から人事異動の内示を受けた。もちろん意外だっただろう。まだ自分の中でも消化しきれていない2日後の日曜日、担当商社Aからこんな問い合わせかあった。
「あなたは退職するのか? X社(お客さん)が誰かから教わったから、こちらに聞いてきた」
月曜日にA社に同行し、X社と新規案件の商談をする予定だった男性はピンときた。
「つまり、私の商談ができない(売上を増やせない)ように、同僚が彼らの担当商社Bを通じてX社にデタラメを流して堂々と阻害してきたわけですね」
大手企業の看板を背負いながら、こんなあからさまな嘘で同僚の足を引っ張るとは驚きだ。
男性はすぐに本部長に報告し、商社Bを問い詰めようとしたが、事態はさらに斜め上の方向へ進む。本部長から返ってきたのは「情報を漏らしたうちの人間が悪いから、商社Bに問い詰めるな」という不可解な制止だった。本来なら情報流出元を特定し、商社Bへ説明を求めるべき立場のはずだが……。
あまりの惨状に、男性が「このような会社の利益を著しく害することも許すなら我々の部門は潰れるのでは」と詰め寄ると、返ってきた反応は凄まじいものだった。
「商社Bと酒を飲んだばかりの本部長は『潰れたらいい!潰れたらいい!』とゲップしながら連呼しました」
一万人の社員を抱える企業の幹部とは思えない、品性もへったくれもない言動だ。さらに後日、その本部長の出張メモには「今日は1人◯万円相当の食事をご馳走様になった」と、高額接待を受けた事実が堂々と記されていたという。
部門のトップが会社の利益そっちのけで外部と癒着し、社内で足を引っ張り合う状態だ。「潰れたらいい」という本部長の言葉は、図らずもその企業の本質を突いているのかもしれない。
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