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「NO MORE賃金泥棒プロジェクト」が中間報告 アルバイトでも「団体交渉の申し入れをすれば変えられる」と弁護士力説

団体交渉を行い、状況が改善されたと話す小高さん(右)

首都圏青年ユニオン委員長の神部紅さん(左)と、自身の経験を話す小高由起子さん(右)

会見では実際に労働組合に相談し、団体交渉を行ったことで状況が改善されたケースも紹介された。

都内の大学院に通う小高由起子さん(24)は2013年の9月から新宿のビアホールでアルバイトをしている。仕事の際はドイツの民族衣装、ディアンドルに着替える必要があり、10分ほどかかるが、業務時間には含まれない。また、勤怠管理は15分毎で行われていた。

ビアホールということもあり、業務終了後にビールの知識を付けるために1時間~1時間半に及ぶ講習会が行われることもある。アルバイトの連絡ノートでは、「新人の方はマストで参加してください!」と書かれており実質的に義務化していたが、任意参加とみなされ賃金が払われることはなかったという。

小高さんはこういった状況をおかしいと感じ、今年3月に首都圏青年ユニオンに相談し、同月中に団体交渉を申し入れた。職場の人間関係は良好なため、「この人達にある意味ケンカを売ることをしなければいけない」とためらった部分もあった。だが、「間違っていることは間違っている」と言うことが大事だと思ったという。

団体交渉を申し入れたことで、4月1日から着替えの時間も業務時間に含まれるようになり、1分単位で賃金計算がされるように改善がされた。講習会については、団体交渉で会社の責任者が「全員参加すべきもので賃金は出るもの」と認めたものの、回答書では「あくまで任意参加」とし、「お支払いにはお応えしかねます」と回答。この点について現在も団体交渉を行っている最中だ。

人手不足の影響で新人が既存のバイトの時給を上回るケースが増加中

佐々木弁護士は「申し入れをすれば状況は変わる」と話した。

佐々木弁護士は「申し入れをすれば状況は変わる」と話した。

小高さんの働く飲食業や、小売業では人手不足の状況も続いている。同プロジェクトが407人の若者(平均26.4歳)に対して行った「若者の仕事・実態調査」では、「働き方や生活の不満、不安、おかしいと感じていること」として最も多くあがったのは「人手が足りない」(49.1%)だった。しかし、次にあがっているのは「賃金が安い」(42.8%)。この状況について、同プロジェクトのよびかけ人である佐々木亮弁護士は、

「この2つは矛盾している。本来人手が足りなければ労働市場として賃金を上げてでも人材を確保しようとなるはずだが、そうなっていない。やはり日本の労働市場は歪んでいるのがあらわれている」

と指摘した。また、この矛盾が新たな問題も引き起こしている。人手不足のため、時給を上げて募集をかける企業も多い。そのため、新人のバイトの時給が既存のバイトの時給を上回るケースが増えているのだという。同プロジェクトよびかけ人の首都圏青年ユニオン委員長の神部紅さんは、

「今、時限爆弾を抱えている状況だと思っています。こういう相談はさらに増えると思うし、負のスパイラル。長年貢献してきた既存の人達が賃上げがなされないのなら職場を離れてしまいます」

と話した。小高さんも時給1000円で働いているときに新人バイトが時給1100円で募集をかけられていたのを見て驚いたそうだ。小高さんの勤務先の場合は既存のバイトも連動して時給が1100円になったものの、新人でこれから教育すべき人が同じ時給であることには疑問もある。神部さんは、「こういった問題も改善していかなければいけない」と話した。

賃金の未払い問題については、今まで団体交渉を行ったケースでは改善につながっているという。佐々木弁護士は今後の活動について「きちんと申し入れていけば大体変わる。これが当たりまえになるようにしていきたい」と語った。

あわせてよみたい:新人は朝早く出社すべきなのか?

 

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