男性によると、その会社は朝10時の開店に間に合えばよかったものの、夜はほとんど終電だったという。
「二日目からは上司が帰らないと帰れない空気が蔓延し、ほとんど会社を出るのは終電間近(23時以降)でした」
さらに営業会社ならではのノルマの圧力も凄まじかった。
「ある年の年末年始、8連休中だった私は、たまの休みでのんびりしていたのですが、3日目になると数字外になってウズウズしだし、結局、大みそかから3日間無人の会社へ赴き、お客様からの問い合わせをチェック、連絡の取れたお客様にアプローチして、勝手に店舗を開けて営業し、休み明けには売上ができているという状況を作っていました」
会社から強制されたわけでもなく、自主的に動いているあたりが恐ろしい。感覚が麻痺しているとしか思えない行動だが、会社側も「マジ! 休み中に売り上げ作ったのすげぇじゃん!」と上司が称賛する始末だった。
そんだけ働いても年収は「せいぜい350万円に届かないくらい」
そんな働き方が長く続くはずもなく、男性はある日の朝礼中にめまいを覚えて倒れてしまう。
「退職してから自分の手帳を見返してみると、年間で取った休日が40日でした。もちろん、休日出勤手当は出ません。ついでに、残業代という概念もない会社でしたので、給与明細の残業手当欄は常に『0』でした」
基本給は学歴関係なく一律18万円。インセンティブがついて、いい時は手取り70万円になったこともあったが、年収は「せいぜい350万円に届かないくらい」だった。妻からは「この会社に勤めていた時が一番金銭的に困った」と言われたそうだ。
さらに、毎月の最低ノルマを割ると5万円の罰金が科されるシステムがあり、これが原因で辞めていく社員が多かったという。
そんな過酷な環境の中で働き続けていた男性だったが、ある出来事をきっかけに、ついに会社を去る決断をすることになる。問題となったのは、会社ぐるみで行われていた、ある不正だった――。
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