その客は彼女との同棲を控えており、台東区周辺で新築の1LDK、駅徒歩10分以内という条件で探していた。なかなか希望通りの物件が出ないなか、ようやく見つけた駅徒歩5分の新築マンションは、希望のアイランドキッチンではなく壁付けキッチンである点だけがネックだった。
しかし内見時に客が放った「まぁ。何とかなるか」という言葉で納得してくれたと考え、そのまま契約が進んだ。
契約が完了し、一息ついたのもつかの間。半月ほどして、管理会社の担当者から男性に一本の電話が入った。
「あんた。なんて客を紹介してくれたんだ!」
いきなり怒鳴られてしまったという男性。話を聞くと、入居した客の近隣から騒音クレームが何度も入るため、管理会社が確認しにいったところ、とんでもない事実が発覚した。
壁付けだったキッチンを勝手にアイランドキッチンへとリフォームしていたのだ。客の言っていた「何とかなるか」は、入居後に勝手に工事をすればいいという意味だった。
「原状回復すればいいだけの話だろうが」
当然、管理会社の担当者は客を問いただしたが、返ってきたのは信じがたい言葉だった。
「原状回復すればいいだけの話だろうが」
仲介業者としての責任は果たしており男性側に非はないが、管理会社の担当者も、あまりに身勝手な言い分に誰かに言わずにはいられなかったのだろう。
その後の客と管理会社がどうなったのかは不明だというが、いくら言葉を並べ立てても、賃貸物件を無断でリフォームする行為が許されないのは言うまでもないだろう。男性は「いろいろな人がいるものだと勉強になった出来事でした」と振り返っていた。
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