転機が訪れたのは、その年下上司が退職し、新しい上司が赴任してきたときだった。当初、新上司は前任者からの引き継ぎによる先入観で女性を警戒していたが、黙々と目の前の仕事をこなす姿や週に一度の1on1での対話を通じ、少しずつ態度は和らいでいった。
そこで女性は、これまでの事実をやんわりと伝えたという。
「『これまでは業務改善の意見を出すことを止められていたこと』『前職の話は一切しないよう釘を刺されていたこと』『重要な会議のメンバーから外されていたこと』などを、感情的にならず客観的に伝えた」
これにより新上司の誤解は次第に解け、待遇は真逆になった。新上司の計らいでさらに上の役職者と直接話す機会も設けられ、社内の風通しは急激に良くなった。
「そこで、年下上司の時代に自分を守るために作成していた業務マニュアルや、独学で得た知識、お客様から集めていた有益なフィードバックを組織に共有したところ、上層部から大いに感心された」
「その人は隠しきれないほどのショックを受けた表情で」
その貢献度が認められ、契約社員という立場でありながら、女性の評価査定はこれまでの最低ランクから一転して最高ランクとなり、社内で表彰されるまでになった。
この劇的な形勢逆転に最も動揺したのは、元上司の「取り巻き」として女性を冷遇していた同僚だった。
「私が表彰された際、その人は隠しきれないほどのショックを受けた表情をしており、翌日から2日間会社を欠勤した。急なパワーバランスの変化や、過去の自分たちの振る舞いが表沙汰になる恐怖から、心理的に追い詰められたのかもしれない」
新上司も1on1でその同僚のケアをしていたようだが、最近では頻繁に有給や半休を使うようになり、すでに転職活動を進めているという噂もあるようだ。女性はこの経験を、実感を込めてこう振り返っている。
「上司という『窓口』ひとつで、個人のキャリアや能力の評価がいかに歪められ、そして正当に評価されることでいかに風通しが変わるかを痛感した出来事だった」
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