
画像はイメージ(AIで作成)
始末書といえば、仕事中に重大な失敗をした時に書かされるものだが、理不尽な理由でやたら始末書の提出を求められる企業も世の中には存在するようだ。
関東在住の斉藤さん(仮名、40代男性)は、以前勤めていたアパレル関係の会社で、10年間で99枚の始末書を提出したという。
「私のいた会社では、始末書は業務上の失敗だけでなく、上司の指示に従わなかったことや、もっとひどく言えば上司の気分でも書かされるような『反省文』としての意味合いが大きかったのです」
しかも、「1枚につき賞与から1万円マイナスされる」というおまけつきの始末書だった。罰金は半年分まとめて賞与から引かれる仕組みだったというが、10年で99枚とすれば在職中に100万円近く引かれたことになる。
ただ、斉藤さんによれば、この理不尽なシステムには“挽回方法”があったという。
「賞与には、半期の売り上げに対する報奨制度もあったんです。つまり、始末書5枚で5万円引かれても、報奨金で10万円取れればプラスになりますよね。だから、多少本社の指示を無視してルール外の売り方をするときは、『始末書でマイナスになっても報奨金で挽回してプラスにすればいい』という考えで営業していました」
編集部では、そんな斉藤さんに取材し、実際に本社の指示を無視して売り上げを作った時のエピソードを詳しく聞いた。(文:篠原みつき)
本社は「輸送費だけで莫大な経費になるから認められない」
ある日、介護施設の責任者から、店頭でセット売りしている長袖無地のTシャツについて問い合わせがあった。
「その商品は1900円の長袖無地のTシャツシリーズで、特に白無地は肌着っぽさが強く、当時は今のように人気がなくて全社で大量に在庫を抱えていました」
入荷から3年が過ぎており、いち早く処分したい商品でもあったという。施設の責任者は畑仕事用に安くて丈夫なものが欲しいと、各サイズ合計200枚の購入を希望した。店の在庫では足りず、本社の担当に在庫を集めてほしいと頼んだが、
「輸送費だけで莫大な経費になるから認められない」
と断られてしまう。多少の割引があっても売り上げは30万ほどになり、輸送費を概算しても赤字にはならない計算だった。そこで再度交渉したが、
「利益率が低すぎる。ダメだ」
と再び断られてしまった。
「商品本部の指示を無視して売り上げを作った」
話にならないと思った男性は、全国の店舗に電話をして20店舗ほどから商品をかき集め、1週間後には納品を完了させた。すると、施設の責任者から追加で100枚の注文が入り、結局300枚、45万円の売り上げになった。
輸送費を引いてもそこそこの利益を上げ、その年の在庫処分率を高めたということで表彰を受けることになった男性。しかし、ここで思わぬ事態になる。
「商品本部の指示を無視して売り上げを作った」
という理由で始末書の提出を求められたのだ。斉藤さんはこう語る。
「不条理だとは思いながらも、売り上げも在庫処分もできたことでささっと書いて提出しました」
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