ある日、介護施設の責任者から、店頭でセット売りしている長袖無地のTシャツについて問い合わせがあった。
「その商品は1900円の長袖無地のTシャツシリーズで、特に白無地は肌着っぽさが強く、当時は今のように人気がなくて全社で大量に在庫を抱えていました」
入荷から3年が過ぎており、いち早く処分したい商品でもあったという。施設の責任者は畑仕事用に安くて丈夫なものが欲しいと、各サイズ合計200枚の購入を希望した。店の在庫では足りず、本社の担当に在庫を集めてほしいと頼んだが、
「輸送費だけで莫大な経費になるから認められない」
と断られてしまう。多少の割引があっても売り上げは30万ほどになり、輸送費を概算しても赤字にはならない計算だった。そこで再度交渉したが、
「利益率が低すぎる。ダメだ」
と再び断られてしまった。
「商品本部の指示を無視して売り上げを作った」
話にならないと思った男性は、全国の店舗に電話をして20店舗ほどから商品をかき集め、1週間後には納品を完了させた。すると、施設の責任者から追加で100枚の注文が入り、結局300枚、45万円の売り上げになった。
輸送費を引いてもそこそこの利益を上げ、その年の在庫処分率を高めたということで表彰を受けることになった男性。しかし、ここで思わぬ事態になる。
「商品本部の指示を無視して売り上げを作った」
という理由で始末書の提出を求められたのだ。斉藤さんはこう語る。
「不条理だとは思いながらも、売り上げも在庫処分もできたことでささっと書いて提出しました」
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