房総のむら、コスプレ撮影禁止に 抜刀禁止エリアで刀を抜いて撮影、調度品を勝手に動かすなどの約束違反が多発
千葉県印旛郡栄町にある体験博物館、千葉県立房総のむらが2月4日、コスプレ撮影による利用を当面見合わせ、新規の受付を停止すると発表した。同施設は江戸時代後期から明治時代にかけての商家の町並みや武家屋敷が再現されているほか、国の重要文化財にも指定されている旧学習院初等科正堂などの歴史的建造物がある。
コスプレーヤーの間では和装の撮影が出来るロケ地として有名で、「刀剣乱舞」や「薄桜鬼」、「るろうに剣心」などのコスプレ撮影を希望する人達に重宝されていた。ツイッターでは「何回も何回もお世話になった場所だったのに…」「地球滅亡レベルできつい」などと惜しむ声が出ている。
「一般のお客様のご迷惑となるケースが多くなっております」
公式サイトに掲載されたお知らせでは、これまでコスプレでの撮影は「希望される方との信頼関係のもとに人数を制限して受け入れ」てきたが、
「ご予約時の申告内容と異なる衣装を着用されたり、禁止事項が守られていない等、一般のお客様のご迷惑となるケースが多くなっております」
と現状を説明。当分の間、コスプレでの撮影の新規予約を受け付けないと明示した。2月4日時点で予約済みの人は撮影を受け入れるが、着替え後に、予約時の申告内容と衣装が異なったり、撮影中に違反が発覚した場合には「その時点で撮影を中止し、撮影データも消去していただきます」と述べている。
房総のむらの担当者によると、何か大きなトラブルがあった訳では無く、「積み重なった結果」だと言う。施設では「新しい層のお客様にも楽しんでいただけるように」と、数年前から和装や和服に限り個人のコスプレ撮影を受け入れ始めた。昨年1月から12月までの1年間では814人の予約があり、「桜のシーズンなどロケーションが良い時は月100件」の予約が入るなど、かなり人気だったようだ。
禁止されている露出の多い衣装で撮影 小中学生の学習利用に支障も
撮影を希望する人には、職員が事前に着用する服装を詳しく聞き、「公序良俗に反しない」などの条件をクリアするもののみ受け入れてきたという。
しかし、事前の予約時に提出した衣装画像と実際の着用衣装が違ったり、職員の前では羽織を着用してごまかし、実際には露出の多い衣装で撮影するなどの違反が目立つようになった。また、
「当施設はスタジオではなく博物館のため、展示物は資料として扱っています。ケースにはいっていない調度品なども展示物のひとつですが、こうした物に手を触れたり、撮影のために勝手に移動したり、寄りかかったりという例が多々ありました」
と、本業である博物館の運営にも支障が出ていた。
「刀などの長物を持ち込まれる方も多いですが、抜刀禁止のエリアで刀を抜いて撮影している例も見受けられました。資料の大きな破損はまだありませんが、今後その可能性もあります」
施設は小中学生が学習のために利用することもある。学校の教員らからは、コスプレ撮影利用者が一部区画を占有し、子どもたちが見学できないと言った声も届いているそうだ。
房総のむらの担当者は、予約再開の時期について、
「今はまだ検討が必要な状況。すぐにいつ頃再開するかは申し上げられない」
と話していた。