「”しょうがない”が口癖の上司」はダメ? 部下が2時間遅刻で取引先を怒らせても「誰だって忘れ物はある」と穏やか | キャリコネニュース - Page 2
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「”しょうがない”が口癖の上司」はダメ? 部下が2時間遅刻で取引先を怒らせても「誰だって忘れ物はある」と穏やか

例えば、同僚がプレゼン資料の入ったUSBを家に忘れ、取引先に2時間遅れて怒らせたというミスをしても、上司は同僚の肩に手を置き「しょうがない、人間誰にだって忘れ物はあるさ」と声をかけただけでした。「なぜ怒らないのか」訊いたところ、

「怒っても問題の解決にはならない。それよりも大事なのは失敗を乗り越える事だ」

と返ってきたと言います。

管理職として非常に理性的で真っ当な答えだと筆者は思います。怒っても解決しないことに労力を費やすのは無駄です。しかし相談者は、「怒られることもまた次へ繋がる経験」という教育をされてきたため、「少し複雑な心境です」と不満な様子。上司は誰にでも平等に優しく良い人だけれども、このままではいつか上司が取り返しのつかないことになると想像し、「みんなその上司に甘やかされっぱなしのままでは流石にマズイのでは無いのでしょうか……」と思い詰めています。

ただ怒っても良いことは無い 怒られた側の40%「モチベーションが低下した」

質問のベストアンサーは、「この上司のために頑張ろうという社員がいて、成果を上げているから上司も同じやり方をしているのでは。あなたは恵まれている」といった趣旨の回答でした。上司のタイプを「鬼」か「仏」に分けたとき、質問者の上司は「仏」であるという指摘もありました。

パワハラ問題など企業のコンプライアンスに厳しい目が向けられる昨今、下手に怒ることは上司自身の首を絞めることに繋がりかねません。一方で、マネジメントの手法を学ばないままストレスを部下にぶつけるような怒り方をする上司も多く、それで精神を病む人も大勢います。そうした背景もあって、この質問が今注目されたのでしょう。

怒りを上手にコントロールする「アンガーマネジメント」について書かれた書籍、『アンガーマネジメント・管理職の教科書』(総合科学出版)には、感情的に怒るのではなく、人や物を傷つけることなく上手に「叱る」手法が提唱されています。

同書には、日本アンガーマネジメント協会が行った2016年の調査が紹介されています。怒った側(上司や先輩)は、業務への影響は「どのような状態にもならなかった」が58.7%と半数以上であるのに対し、怒られた側は「モチベーションが低下した」40.6%、「相手を避けるようになった」25.7%、「精神的に不安定になった」23.2%と、悪影響が出ています。

業務に支障のあるミスを指摘するのは当然ですが、すでに起こってしまったことを変えることはできません。「怒る」ことが仕事の成果に繋がらないことを、この上司はよくわかっているのでしょう。羨ましいくらいの上司です。

また、アンガーマネジメントでは自身の「こうするべき」という考え方が守られないとき怒りが生じるとも説いています。質問者は、上司や同僚の心配をしているかのようですが、実は「失敗したら怒られるべき」という自分の考えと違うやり方が、気に入らなかっただけかもしれません。

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