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家族経営の会社では「自分の子どもたちには甘い」ということも
血縁者のみ優遇する同族経営の職場に苦しむ人は多い。過度なトップダウン体質だったり、一般社員に理不尽な対応をしたりする企業も少なくはない。キャリコネニュース読者からも、
「家族経営で自分の子どもたちには甘く、社員には問い詰めるような会議」(50代男性、事務・管理職)
「同族企業であり公私混同」(40代男性、営業職)
といった声が寄せられている。今回は営業職の40代女性が明かす、1990年代、まさに平成初期のブラックな同族企業体験談を紹介する。(文:鹿賀大資)
「社長の奥さんは保険屋のおばさんで、何かと裏から手を回していました」
25年前、女性は地方の中小企業に勤めていた。上層部はワンマン社長の家族や親族などが牛耳っていた。その中には社長の友人ということで採用された、元警察の天下りもいた。社長が右翼からの嫌がらせ対策として採用したという。
「その人は自宅から15キロの距離をランニングで出社する健康自慢オタクです。会社のシャワーを使ったあと、社員が朝の清掃をするなか新聞を読んでいました。お昼は社員食堂でパートのおばさんたちとおしゃべりです」
総務部長の肩書きだったが「何の仕事をやっているのかわかりませんでした」という。天下り部長は散々、引っ掻き回した挙句、一年も経たずに会社を去った。女性は社長夫人についても綴る。
「社長の奥さんは保険屋のおばさんで、何かと裏から手を回していました。勤務中に保険会社が勧誘しにきたり。取引銀行が提携している保険会社の自動車保険に入らないと、ただでさえ少ない賞与から2万円も引かれました。社長の奥さんと同じ町内の社員のところには、手土産持参で保険の勧誘に来ていたそうです」
「あの時代はコンプライアンスもなく、イエスマンにならざるを得ませんでした」
職場の環境も劣悪だった。有給休暇は、病気以外では取得できず、その際「使った時は薬袋や領収書を提示しないとダメでした」という。会社の同僚男性が有休希望を出したときのことを綴る。
「ある男性社員が妻の出産に付き添うために有休を希望したら、朝礼で吊し上げられ『男とは妻の出産の時は仕事をするもんだ』と持論も展開。そんな朝礼は一時間以上もあるので、真夏になれば女性社員はバタバタと倒れていました」
さらに子どものいる女性社員にはパートになるよう勧め、遠回しに子どものために退職するよう促していた。それでいて社長の娘は、正社員はおろか、しっかりと役員に据える始末。女性は当時を振り返る。
「あれから25年も経ちました。陰で泣いていた女性社員たちのお子さんも、今は30代の子育て世代。あの時代はコンプライアンスもなく、会社で生き残るためにはイエスマンにならざるを得ませんでした。まともな人ほど辞めていきました」
その会社は結局、社長の右腕だった側近が病死したことで経営が傾き倒産したという。女性は元社長をはじめとする、かつての上層部について、
「戦後の叩き上げで生き抜いてきた世代なんでしょう。元社長やその取り巻き連中は、今となっては80代半ばを過ぎています。散々、常識外れなことをやってのけ、それでいてのうのうと私たちより高い年金をもらって生活しているのか、と思うと腹立たしい」
と心境を綴っている。
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