因果はめぐる糸車──。結果には、必ず何かしらの原因があるものだ。退職を決断する人たちもまたしかり。キャリコネニュース読者からは
「震災や台風が来ようが、吹雪でホワイトアウトになっていようが、ウイルスをばら撒かれようが現場に駆り出されています。それが当たり前の顔をして、セーフティゾーンで仕事をしているふりの役職たちを見た時……。彼らからは『お疲れ様』の声もありません」(50代男性/販売・サービス職)
といった声が寄せられている。まるで宮沢賢治の一節のようだが、これを自発的ではなく強要されたとなれば、退職の二文字が頭に浮かぶ人は多いだろう。今回は、3人の退職決意にまつわるエピソードを紹介する。(文:鹿賀大資)
「病気の人やエッセンシャルワーカーに配慮がない職場に幻滅」
某県立がんセンターの臨床研究所で働く30代女性は、職場の冷遇に嫌気が差した。出勤者7割減の要請が出された緊急事態宣言中でさえ、通常勤務を強いられたという。現状については、
「看護師さんたちとは建物が違うものの、同じ職員としてロッカーやエレベーター、会議室などを共有しています。入院している患者さんはもちろん、一線で働く看護師さんたちの安全を守るためにも、研究所の出勤者は減らすべきかと」
と明かす。女性は「病気の人やエッセンシャルワーカーに配慮がない職場に幻滅です」と心境を綴っている。
一方、客側にエッセンシャルワーカーなどが付いたことで、退職の引き金となったケースもある。結婚相談所で働く20代女性は、医療現場で働く人を多く担当したことで転職を考え始めたという。
「緊急事態宣言が出る直前まで、対面で接客をしていました。それも一人につき2~3時間程度です。『こういう時だからこそ需要がある』ということで、営業時間も短縮せず通常通りでした。中には『ヨーロッパから帰国したばかり』というお客様もいました」
緊急事態宣言後はリモートワークに切り替わり、テレビ電話で面談をしているという。だが、職場の印象については「従業員の命より売上重視の会社に驚き、落ち着き次第、転職しようと思います」とすっかり変わってしまったようだ。
“常識はずれ”な従業員カットと賃金抑制策
スーパーマーケットに勤務する60代男性は、幹部陣について話す。男性いわく「社員のことは考えない」という人々で、退職を決めた元凶となったようだ。
「営業会議では『世間の不幸は商売のチャンス』と部下に激を飛ばしている。それに他社が自制している特売チラシを出すように指示したり、4月には3つの新店舗を前倒しで開店させたり。マスクが少量の入荷だったにも関わらず、社員に通常価格で販売していた」
それにとどまらず各店舗に対して「以前から推進してきた常識外れな”店舗あたりの従業員数のカットと賃金抑制策”を要望してきた」という。さらには、
「従業員へのコロナ対策は全部、他の小規模スーパーの動きを見た上で、それが世間的に浸透してきたと判断すると『当社でも名目上はやっていますよ』という具合で実行している」
と明かす。とはいえ、昔から一向に変わらないスタイルに「さすがに私も嫌になった」と不満を述べた。
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