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なんで? ほとんどの小学校で現在もシャーペンが禁止されている理由

画像はイメージ

シャーペンを使用した児童に女性教師が体罰を行い、怪我を負わせたという痛ましい事件が先日報じられました。事件のあった小学校ではシャーペンの使用を禁じていたようです。

大人にとっても身近な文房具の一つであるシャーペンですが、使用を禁止している小学校が多いことをご存知でしょうか?

「鉛筆のように削らなくてよい」「ノックするだけで芯が出てくる」「鉛筆と同じように消しゴムで消せる」など、シャーペンの長所はたくさんあり、大人になってからはむしろ鉛筆よりシャーペンの方をよく使うという人も多いはずです。

にもかかわらず、小学校でシャーペンが禁止されることが多いのはなぜなのでしょうか。「シャーペンを使いたい」という子どもと、シャーペンの使用を禁止している学校。両者の意見を客観的に見ることのできる学習塾経営・プロ家庭教師ならではの視点で解説していきます。(個別指導塾経営、プロ家庭教師:妻鹿潤)

シャーペンだと字が薄くなるからダメ?

私が教えている小学生の子どもたちに聞くと、やはり多くの学校でシャーペンの使用が禁止されているようです。

学校によって差はありますが、学校全体でシャーペンの使用が禁止されていることが多いです。ただ、まれに「小学5年生以上はシャーペン可」など、学年ごとにシャーペン使用の可否が決められていることもあるようです。

「ルールなのだから仕方がない」と素直に受け入れている子が多い一方で、「家や塾ではOKなのに、学校でだけ禁止されるのは変だ」と違和感を持つ子もいます。

一方で「シャーペンは芯がボキボキ折れるから嫌」と、少数ながら鉛筆派の子もいます。筆圧の調整が苦手な子は鉛筆の方が書きやすいと感じているようです。

小学校でシャーペンが禁止される理由としては以下のようなものが考えられます。

・字が薄くなる、小さくなる
・筆記具の正しい持ち方が身に付かない
・分解や組み立てに夢中になって授業に集中できない
・高価なものは盗まれるなどのトラブルが起きるリスクが高い

確かに、小学校低学年くらいの子どもは手先の運動能力が未発達であるため、シャーペンだと芯が折れてしまったり、筆圧が弱くなってしまったりすることはあります。

一方で、「分解や組み立てに夢中になって授業に集中できない」「高価なものは盗まれる可能性」といった点については、例えば「授業中に消しゴムを飛ばしあう」「人気キャラの鉛筆を盗った・盗られたと揉める」など、その他の文房具でも同じような懸念は起こり得ます。そのため、シャーペンの使用を禁止する理由としては、やや疑問を感じるところではあります。

「機能的で書きやすい」「鉛筆を削るのが面倒くさい」

多くの学校がシャーペンを禁止している一方で、小学生の半数がシャーペンを日常的に使っているようです。

大手文具メーカーのゼブラが小学生300人を対象に2015年に実施した「シャープペン使用実態調査」では、シャーペンを使っている子どもは49.6%でした。内訳を見ると、小学校で使っていると答えた子どもは8.6%ともっとも少なく、31.3%だった自宅との差は歴然です。

小学生がシャーペンを使用する理由としては、

「機能的で書きやすいから」
「鉛筆を削るのが面倒くさいから」

というものが上位に並んでおり、次いで「かっこいいから、かわいいから」「均一な太さの線が書けるから」といった理由が続きます。

この調査では保護者の意見も聴取されていて、「鉛筆のように削らなくて良いので、エコで経済的」「学習意欲が湧くのならOK」「高学年になると問題数も多くなるので、いちいち削っていられない」など現実的な回答が並んでいます。

一方で、「まだ力加減ができず、芯を折ってしまう」「まずは鉛筆の持ち方を覚えてほしい」というように、学校の先生がシャーペンを禁止する理由に近い意見もあり、家庭によって考え方は様々であることが分かります。

子どもの発達に合わせた文房具選びが大切

現役のプロ家庭教師でもある私としては、「シャーペンの使用は子どもの発達に合わせて個別に判断すべき」と考えています。

確かに幼い子どもは手先がまだ不器用なため、シャーペンだと芯が折れてしまったり、適切な筆圧で書けなかったりすることが多いです。しかしながら、子どもによって発達のスピードにはかなり差があるため、「○歳からならシャーペンを使って良い」といった基準を作ることはあまり現実的ではありません。

したがって、筆圧のコントロールや鉛筆の持ち方がどれくらい身についているのか、子ども一人一人の発達度合いを丁寧に見た上で、個々にシャーペン使用の可否を判断していくのが望ましいと考えます。

一方、学校においては、手先が器用な子はシャーペンを使って良いとしてしまうと、「○○さんだけズルい!」となっていじめやトラブルの原因になってしまう可能性もあります。一律で禁止せざるを得ない面があることも一定の理解はできますが、それでも「シャーペンは、鉛筆で正しく字が書けるようになってから使いましょう」などの指針を示した上で、子どもたち自身で判断させることも大切ではないでしょうか。

小学校で禁じていたシャーペンを使った児童に、体罰を行った女性教師は「シャーペンをしまうことへの指導に固執してしまった」と述べたようです。このようなことにならないよう、学校の先生にはシャーペンを禁止する理由をしっかりと理解し、ルールに固執することなく柔軟に対応してほしいと思います。

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