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「部下の離職が増え、仕事の采配に苦労している…」定着率の低い職場に足らないこととは?

画像はイメージ

企業人事の方々との打ち合わせや管理職研修でよく出る課題として、

「離職する方が増えてきている」
「離職する方が多くて、仕事の采配に苦労している」

といったものがあります。

また、私が運営する一般社団法人医療コミュニケーション協会の座談会“医療コミュニケーションカフェ”でも、医療者の離職や転職の問題が挙げられています。

今回は、部下の離職をいかに防ぎ、定着率の高い職場をどのように作っていけばいいのかについて探っていきましょう。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

一生同じ会社で働くといった幻想を上司世代は捨てるとき

パーソルキャリアの転職サービス「doda」が分析した、「新卒入社直後のdoda登録動向」によると、2023年4月に「doda」へ登録した新社会人は、調査を開始した2011年比で約30倍にまで増加しているとのことです。若者の働くことへの価値観の変化がうかがえます。

我々上司世代の当たり前の価値観としては、一生同じ会社で勤め上げるといったものがありますが、今の若者にはないようです。その背景としては、以下のようなものが挙げられています。

・年功序列制度や終身雇用制度の崩壊を見るなかで、会社に対する信頼度が低下してきている。
・VUCAと言われる不確実性が高まり続ける社会において、自身の将来に不安を抱えており、転職などを通して市場価値を高めていきたいと思っている。
・入社前から「自分がやりたいこと」「自分らしい働き方」が明確になっており、転職を通して自らの意思でキャリアを構築していこうといった思いが強い。

不確実性の高まる社会において、就職先を闇雲に信頼することなく、転職を自らのキャリアを成長させる手段として捉えているようです。このような状況に、管理職としてやれることはあるのでしょうか?

部下の定着を促進する4つの要素から管理職の関わりを考える

バーバード・ビジネス・レビュー2023年5月号に掲載された「人材獲得競争に勝つには」では、人を惹きつけ離職を防ぐファクターとして、次の4つがあげられています。

(1)物理的な待遇(2)能力開発・成長の機会(3)つながり・連帯(4)意義・パーパスです。それぞれに対して、管理職としてどのような関わりができるのか考えてみましょう。

(1)物理的な待遇
給与や福利厚生といった制度的な側面が強く、管理職としての積極的な関わりは難しいように感じます。しかし一般的には、さまざまな制度はあってもなかなか使えていない状況や使いにくい組織風土があります。部下の状況をしっかり理解しながら、使用しやすい環境を醸成することを心がけていきましょう。

(2)能力開発・成長機会
一般的に部下は、仕事を通して70%成長し、20%が上司からの薫陶により成長し、10%は研修を通して成長していくと言われています。管理職としては、仕事を部下の能力に合わせて任せ、自身の経験談を語りながら成長を支援していくことが求められます。そして、会社が用意してくれている研修のみならず、自身の学びの経験を語りながら、学びの場に身を置くことの大切さを伝えていきましょう。

(3)つながり・連帯
人は社会性の生き物だと言われ、欲求5段階説で有名なアブラハム・マズローも社会帰属欲求の大切さをうたっています。中間層がいないといった組織が多く、つながりや連帯感を育みにくい環境があります。管理職としては、1対1の面談のみならず、1対多のダイアローグの場の運営や、ありがとうカードに代表されるような連携を促す仕組みを導入し、部下同士の連携や協働を高めていきましょう。

(4)意義・パーパス
Googleが発表した生産性の高いチームに関する調査「プロジェクト・アリストテレス」やその他でも、仕事の意義や目的を感じながら仕事を進めていくことが、組織成果を高めることにつながるとわかっています。しかし、多くの組織でビジョンやミッションが、絵に描いた餅になってしまっています。面談や会議で常に語っていくことや、ビジョンやミッションを部下自身の仕事に落とし込む場を運営するなどの工夫をしていきましょう。

以上、部下の離職をいかに防ぎ、定着率の高い組織を醸成していくかについて探ってまいりました。上記の4つのポイントにあなたらしさを加えて、この上司と一緒に働きたいといった思いを部下のなかに育んでいきましょう。それが、あなたの上司としての力“上司力”を上げていきます。

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