ニデックのDX:社長直下のDX推進室がSalesforce製品導入推進 17カ国80拠点のグローバル展開を完了 | NEXT DX LEADER

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ニデックのDX:社長直下のDX推進室がSalesforce製品導入推進 17カ国80拠点のグローバル展開を完了

NIDEC/ニデック企業CM「ニデックってなんなのさ?ロマンス篇」30秒(2024) より

ニデックは1973年、京都市に日本電産として設立、精密小型交流モータの製造・販売を開始しました。1976年には米国に拠点を置いて海外展開を始め、1988年に大証二部に上場、1998年に東証一部上場を果たします。

1990年代からは国内、2000年代からは海外M&Aを相次いで行い、約70社を買収して「世界No.1 の総合モーターメーカー」に。2023年3月期の売上高(IFRS)は2兆2428億円、営業利益は1000億円、営業利益率は4.5%、海外売上高比率は82.5%でした。(NEXT DX LEADER編集部)

「2030年度に連結売上高10兆円」を目指して

ニデックは、スマートフォンに搭載される精密小型から大型船舶用の超大型まで幅広いモータを製造販売しています。ハードディスク用や電動パワステ用などのモータのほか、液晶ガラス基盤搬送用ロボットやCPU半導体パッケージ検査装置などの製品は、それぞれ世界のトップシェアを誇ります。

2023年3月期の製品グループ別売上高構成比は、「家電・商業・産業用」が40.8%で最も大きく、次いで「車載」の23.2%、「精密小型モータ」の19.0%、「機器装置」の13.2%、「電子・光学部品」の3.7%、「その他」の0.2%となっています。

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

地域別の売上高構成比は、「中国」が25.0%、「米国」が22.8%、「欧州」が18.8%、「日本」が17.5%、「その他アジア」が12.2%、「その他地域」が3.8%でした。

ニデックは「世界一高性能なモータで地球に貢献する」をミッションに、「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」をビジョンに掲げており、2030年度に連結売上高10兆円という高い目標を掲げています。

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

背景には、地球温暖化や労働人口の減少のほか、「5G&サーマルソリューションの波」「脱炭素の波」「省人化の波」「デジタルデータ爆発の波」「省電力化とコロナ後の波」という5つの大波が来ており、これによる事業機会を捉えて目標達成を目指すとしています。

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

この目標達成に向けた2015~2020年度の中期戦略目標「Vision 2020」は、コロナ禍で目標が未達に。2021年4月には、売上高2兆円目標を2022年度に先送りし、従業員一人当たり売上高と営業利益を3割増、ROIC(投資資本利益率)10%以上を掲げた、2021~2022年度の中期戦略目標「Vision 2020からVision 2025へ」を発表しました。

2021年7月には、2023~2025年度の中期戦略目標「Vision 2025」を発表。2025年度までの「連結売上高4兆円/営業利益4,500億円以上」「従業員一人当たりの売上高と営業利益を倍増」「ROIC(投下資本利益率)15%以上」とともに、「ESGで評価される企業に!」という目標を掲げています。

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

2023年3月期決算説明会(2023年4月24日)より

「スリー新DX」「ものづくりDX」「社員DX」を推進

ニデックでは「Vision 2025」に先立ち、2021年4月に「Nidec DX推進~2023年生産性倍増の実現に向けて~」を発表しています。

「2023年生産性(売上高/営業利益)2倍」の達成に向けた戦略的活動の一環として、2020年12月に社長直下のプロジェクトとして経営企画部に「DX推進室」を立ち上げ、DXを「スリー新DX」「ものづくりDX」「社員DX」の3つの観点で推進しています。

「スリー新」とは新市場・新製品・新顧客、「スリー新DX」とは営業・商品開発のDXのことです。「スリー新DXプロジェクト」では、全世界における「新市場」の開拓・創出、「新製品」の迅速な投入、「新顧客」の獲得による売上拡大を目指しています。

「ものづくりDX」とは設計・製造のDX、「社員DX」とは社員一人当たりの生産性向上に向けて作業の自動化のためにRPAの活用を推進するDXを指しています。

これらDXの推進に向けて、DX推進室の設置と同時にSalesforce製品の導入を開始し、2022年3月にはグローバル17カ国80拠点を超えるグローバル展開も完了。導入例にあげられているのは以下のアプリケーションです。

Sales Cloud:CRM・SFAツール/Pardot(現Marketing Cloud Account Engagement):BtoBマーケティングオートメーションツール/myTrailhead(現Sales Enablement):独自の研修プログラムを作成できる/Quip:コラボレーションツール/Tableau CRM(現CRM Analytics):AIを搭載した分析プラットフォーム

これらのツールによりグループ内での情報共有と営業活動のグループ一体化を進め、将来的には全グループ会社に共通のシステムを用いることで“One Nidec Platform”の実現を図り、顧客満足の向上を目指すとしています。

MBD(モデルベース開発)やAI活用も

2023年5月10日に企業サイトに掲載された「DXの取り組み」には、それまでの実績を踏まえたニデックにおけるDXの取り組みについて、Salesforce製品を使った「営業の業務改革の取り組み」以外にも3つの取り組みが行われています。

「DXの取り組み」より

「DXの取り組み」より

「サプライチェーン領域」の取り組みでは、営業(引き合い、販売計画)から生産計画、勾配、製造、物流までのサプライチェーン業務を整流化し、デジタル技術やデータ収集基盤の活用により、ものづくり業務の標準化と効率化を推進しています。

「エンジニアリングチェーン領域」の取り組みでは、商品企画から新商品見積もり、設計、品質保証までのエンジニアリングチェーンの業務について、シミュレーション技術を活用したMBD(モデルベース)開発や人工知能(AI)などの先進技術を活用し、開発の効率とスピードの向上を推進しています。

会社の全体管理においては、「管理業務効率化およびデジタル人材育成」の取り組みとして、経理業務変革プラットフォームの活用など管理業務の省人化を推進。RPAやBIツールを駆使した全社的な業務効率化につながる人材育成を推進しています。

YouTube:NIDEC/ニデック企業CM「ニデックってなんなのさ?ロマンス篇」30秒(2024)

考察記事執筆:NDX編集部

NIDEC/ニデック企業CM「ニデックってなんなのさ?ロマンス篇」30秒(2024)の再生回数推移

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