BEENOSのDX:「テクノロジー 3カ年方針」で課題と方向性を整理 AI活用でオペレーションとサービスを改善 | NEXT DX LEADER

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BEENOSのDX:「テクノロジー 3カ年方針」で課題と方向性を整理 AI活用でオペレーションとサービスを改善

BEENOS's Purpose(存在意義)【BEENOS公式】 より

BEENOSは1999年設立、翌2000年に国内初となる共同購入方式Eコマースサイト「ネットプライスギャザリング」をPCサイト上で開始、同年にモバイルコマースサービス「ちびギャザ」を提供開始しました。2004年に東証マザーズに上場、2016年に東証一部(現プライム)に市場変更しましたが、2017年には祖業の事業を譲渡しています。

2019年に「BEENOS’s Purpose & Vision」を策定。Purpose(存在意義)に「野心とテクノロジーで世界の可能性を拡げるNextスタンダードを創る」、Vision(ビジョン)に「日本と世界を繋ぐグローバルプラットフォームを創る」を掲げています。(NEXT DX LEADER編集部)

「グローバルコマース」が収益をけん引

2023年9月期の報告セグメントは「Eコマース事業」と、国内外の投資育成活動を展開する「インキュベーション事業」、越境EC支援などの「その他事業」の3つ。主要事業の「Eコマース事業」は、さらに「グローバルコマース」「バリューサイクル」「エンターテインメント」の3つのセグメントに分かれています。

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

「グローバルコマース」にはさらに3つの事業と4つのサービスがあり、1つ目の「海外転送・購入サポート事業」では、海外居住者向けに日本の商品を海外発送代行(転送)する「転送コム」と、商品を代理購入する「buyee(バイイー)」を運営しています。

2つ目の「グローバルショッピング事業」では、世界最大のマーケットプレイスeBayとの提携のもと世界中の商品を日本に居ながら購入できる「sekaimon(セカイモン)」を運営。3つ目の「ファッション特化型越境ECサービスの運営事業」では、日本のアパレル商品を海外消費者に届ける「FASBEE(ファスビー)」を運営しています。

「バリューサイクル」にも2つの事業があり、「ブランド・アパレル買取販売事業 Brandear(ブランディア)」「酒類買取販売事業 JOYLAB(ジョイラブ)」を運営。「エンターテインメント」では、エンターテインメント業界向けに特化したECプラットフォーム「Groobee(グルービー)」を運営しています。

2023年9月期の売上高構成比は、バリューサイクルが前期比0.3%減の150.3億円、グローバルコマースが同19.6%増の120.9億円、エンターテインメントが同65.5%減の14.6億円、インキュベーション事業が同12.5倍の37.1億円、その他事業が同11.9%減の7.3億円でした。

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

同セグメント営業損益は、グローバルコマースが前期比10.7%増の36.6億円の黒字で、インキュベーションが29.7億円の黒字。エンターテインメントが5300万円の赤字、バリューサイクルが1億円の赤字、その他事業は10億円の赤字でした。

なお、2024年2月の取締役会で、「バリューサイクル」事業を運営するデファクトスタンダードとJOYLABの全株式をオークネットに売却することを決議しました。

2006年に株式取得したデファクトスタンダード「Brandear」を運営し、2016年に東証マザーズ上場、2018年に東証一部に市場変更しましたが、2020年に株式交換でBEENOSが完全子会社とし上場廃止していました。

「人材採用の困難さ」を前提にDX推進

BEENOSは2023年6月に、4つの項目からなる「テクノロジー 3カ年方針」を発表しています。

1つ目の「当社のテクノロジーについての考え方」は、代表取締役執行役員社長兼グループCEOの直井聖太氏の名前の下、「グループの発展のためにテクノロジー活用のさらなる強化」を図ることが明記されています。

具体的には「自動化やデータ基盤の強化とその活用により組織変革を促進し、生産性を高めるほか、AIをはじめとする先端技術を既存事業や新規事業に活用し、技術水準を高く保持」としています。

2つ目の「テクノロジーに関わる経営課題」は、「グループ共通」の課題とともに主要事業の「グローバルコマース」「エンターテインメント」に関わる課題を整理しています。

グループ共通の課題としては、「日本国内における、開発・クリエイティブ人材採用の困難さ」のほか、「当社の各種プラットフォームを利用する顧客・ユーザー・バックオフィスユーザーの、データや権限、操作履歴の適切な管理」「生成AIなど先端ITの、サービス及び業務へのさらなる活用」「各業務におけるテクノロジー主導の積極的な効率化(DX)」をあげています。

各事業の課題には「マネジメント属性人材の不足」「開発リソースの不足」といった、グループ共通の人的課題に通ずるもののほか、「一部既存システムの老朽化」「データの更なる活用」といったものがあげられています。

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

3つ目の「テクノロジーに関わる経営課題を踏まえた具体的な方策」は、2つ目の「課題」の内容に対応する形で整理。「開発・クリエイティブ人材採用の困難さ」に対しては、「生成AIやローコード・ノーコードなどを業務上で活用することで、主にバックオフィス系のシステム開発・運用コストを、非エンジニア人材が担うことを目指す」など4つの解決の方向性が示されています。

他の具体的な方策としては「外国籍人材の登用を積極的に推進」「バイリンガル人材拡充のための各種施策の推進」「大学への寄附講座などを通し、教育段階からの人材育成を推進」といった抜本的な対策も見られます。

全社横断の「テクノロジーチーム」「DX推進担当」を設置

4つ目の「推進体制」として示されているのは4つで、「全社横断のテクノロジーチームの設置」「全社横断のデザインチームの設置」「全社横断のDX推進担当の設置」「情報セキュリティ委員会の設置」です。

全社横断のテクノロジーチームについては、グループ内の複数事業を横断的にサポートするための専門部署「テクノロジー推進室」が組成され、部署内には8つのチーム、34人のエンジニアが在籍しているとのことです。

DX推進担当については、グループの各事業においてより積極的にDX推進を実行する役割を担う人で、2023年度より複数名を任命するとしています。

2023年11月の「2023年9月期 通期決算説明会資料」によると、グローバルコマース事業の戦略に「積極的にAIを活用し、オペレーションとサービスを改善」を掲げ、AI専門人材の採用や、専門部署の立ち上げ、UX改善や商品レコメンドの強化などに取り組むとしています。

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

2023年9月期 通期決算説明会資料(2023年11月7日)より

また、エンターテインメント事業の戦略に「Groobee事業のさらなる拡大」を掲げ、EC運用の大部分をシステム化することにより、運用効率を上げるとしています。

YouTube:BEENOS's Purpose(存在意義)【BEENOS公式】

考察記事執筆:NDX編集部

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