アート引越センターのDX:「経営ビジョン」から「達成指標」まで体系的に整備 「DX推進会議」で進捗管理 | NEXT DX LEADER

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アート引越センターのDX:「経営ビジョン」から「達成指標」まで体系的に整備 「DX推進会議」で進捗管理

アニメーションムービー「♯00_プロローグ」篇 アートの新キャラクター未来の引越ロボット「アーボット」と「いずみちゃん」が登場! より

アート引越センターは1968年に寺田運輸として創業し、1976年に引越業に本格的に進出。翌1977年に日本で最初の引越専業会社として、現社名の会社を設立しました。1990年に社名をアートコーポレーションに変更し、2004年に東証二部に上場、2005年に東証一部に市場変更し、海外展開や多角化を図りました。

2010年に創業者が不祥事により代表取締役会長を辞任(現在は復帰)、2011年にMBOによる上場廃止となりました。その後、一部事業を整理し、2022年に再び現社名に変更。同年、単身者向け引越サービスのヤマトホームコンビニエンスの過半数の株式を取得して傘下におさめています。(NEXT DX LEADER編集部)

「AIエンジンによる自動見積アプリ」の開発に着手

アート引越センターは、引越事業を中心に、国内物流事業のほか、保育事業、住宅関連事業、物販事業、輸入車販売事業を行っています。2023年9月期の売上高は1,671億円で3期前の44.5%増、経常利益は82億円で同4.1%増となっています。

アートグループのウェブサイトでは、2023年9月に「DXへの取り組み」を大きく打ち出し、「DX経営ビジョン」「DX戦略」「DX推進体制」「DX戦略達成指標」「情報セキュリティについて」の5項目で体系的に整備しています。

企業サイト「DXへの取り組み」より

企業サイト「DXへの取り組み」より

DX経営ビジョンでは、引っ越しサービスが「これから100年先も『人の手』によって」提供されていると予想しつつ、一部の業務は、デジタルツールの活用によって業務の効率化が進むことで「より一層お客さまに寄り添ったサービスの提供に注力できるようになり、更なる品質向上にも大きな効果が得られる」としています。

DX戦略として5つの柱をあげ、1つ目の「デジタルツールとサービス提供によるCX向上」では、2026年9月までに顧客のデジタルツール・サービス活用度の20%向上を目指し、「引越マイページの機能強化」「AIエンジン開発とそれを利用した見積アプリの提供」「AIを用いたお問い合わせの24時間チャット」に取り組むとしています。

「引越マイページ」の機能強化については、2023年2月に見積り予約から引越し後のアフターサポートまでネットで完結する「引越マイページ」をオープン。2024年3月には電子化された見積書・領収書などの書類をまとめて確認できる「マイポケット」機能などをアップデートしています。

プレスリリースより

プレスリリースより

見積りのデジタル化については、それまで手書きで行っていた見積りの「タブレット化」や、インターネット上で見積りが完結する「単身引越スイスイ!お見積り」、テレビ会議システムを利用したリモートLive見積「ミライ」など、ITを活用した見積りシステムを導入しています。

さらに2023年9月のプレスリリースでは、顧客が室内をスマートフォンで撮影するだけで3Dモデルを自動で生成し、物量積算AIエンジンが自動で引越費用の見積りを算出する「引越しAI見積りアプリ」(名称仮)の開発に着手したと発表しています。

プレスリリースより

プレスリリースより

業界で初めて「PKSHA Voicebot」を導入

2つ目の「デジタルツール活用によるEX向上(働き方改革)」では、2026年9月までに従業員のエンゲージメント指数の10%向上を目指し、「時間や場所に制約を受けない働く環境の整備」「タレントマネジメントシステム活用により従業員のエンゲージメント向上」「ダイバーシティ経営の推進」に取り組むとしています。

DX戦略の3つ目「業務のデジタル化による効率化・生産性アップ」では、「ご家財の運送効率アップのためのシステム構築と業務の見直し」「全ての業務活動におけるペーパーレス化の推進」「RPAやAIを活用した既存業務の自動化」に取り組むとしています。

業務の見直しについては、2024年3月のプレスリリースで、ギブリーのAIマーケティングDX支援ソリューション「DECA Cloud(デカ・クラウド)」を導入したと発表。オンライン接客やAIチャットボット、LINEやInstagramとの連携が可能になっています。

既存業務の自動化については、2024年3月のプレスリリースで、ボイスボット「PKSHA Voicebot」を業界で初めて導入したと発表。音声ボイスボットを導入し、電話の一次受付と住所登録の自動完結を実現しています。

プレスリリースより

プレスリリースより

4つ目の「ITインフラ基盤の整備・強化」では、BCP対策の強化(リモートワーク環境の拡充)に向けて「クラウドサーバへの移行促進、オンプレミスとクラウドのハイブリッドサーバ運用」「情報セキュリティの強化、従業員へのITリテラシー教育」「ネットワーク環境の強化」に取り組むとしています。

5つ目の「DX人材の育成」では、「eラーニングによる従業員へのDXリテラシー教育」「DX人材の採用強化」「DX推進会議の定期開催による従業員のリスキリング促進」に取り組むとしています。

2023年6月のプレスリリースによると、アート引越センターでは、営業組織・個人の育成ポイントを可視化するブレーンバディの営業育成DXツール「SaleSpot」を先行導入。属人化していた営業育成を標準化し、すべての新人が1年間で単価アップを実現したとのことです。

プレスリリースより

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経営層が「DX推進会議」のPDCAサイクルを監督

DXの推進体制については、代表取締役社長を「DX推進統括責任者」とし、経営管理室がDX推進部門として各部門と横断的な協力体制を築き、社内全体のデジタル化企画を推進するとしています。

具体的には、経営管理室は経営層と実務者である引越営業部門、引越作業・配車部門、法人営業部門、管理部門が参加する「DX推進会議」を定期的に開催。顧客サービスや業務における「デジタル化企画」の立案・策定、進捗状況の管理、効果測定や改善などを行います。

企業サイト「DXへの取り組み」より

企業サイト「DXへの取り組み」より

経営層は「DX推進会議」のPDCAサイクルを監督し、必要に応じて人材配置や予算措置を講じるとしています。

YouTube:アニメーションムービー「♯00_プロローグ」篇 アートの新キャラクター未来の引越ロボット「アーボット」と「いずみちゃん」が登場!

考察記事執筆:NDX編集部

アニメーションムービー「♯00_プロローグ」篇 アートの新キャラクター未来の引越ロボット「アーボット」と「いずみちゃん」が登場!の再生回数推移