2年半も外にいた茶白猫を保護した瞬間 息を殺して近づき、素手でガバッと……(3) | キャリコネニュース
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2年半も外にいた茶白猫を保護した瞬間 息を殺して近づき、素手でガバッと……(3)

保護後、顎を乗せ寛いでいる

子どもの頃から猫が好きでたまらない筆者は、ライターや編集者の仕事をする傍らで地域猫のボランティア活動を長年続けている。これまで一緒に暮らした猫の数は合計で17匹。このほかにも、保護後に里子として迎え入れられた猫たち、世話をしてきた地域猫も含めると関わった猫たちは60匹くらいになる。その中でも強烈な出会い方をした茶白猫がいる。

2018年2月、推定5キロほどのいかつい茶白猫(その後、杏奈と名付けた)と出会った。それから毎日外でご飯をあげ続けていたが、食欲旺盛な杏奈は2019年の冬に一度体調を崩した。動物病院に連れて行くため、保護を試みたが失敗してしまった。だが奇跡的に元気になり、それまで通り外生活を謳歌するようになった。ここまではエピソード(1)と(2)で伝えた通りだ。

ところが2020年9月、杏奈は再び食欲を失った。まだ暑い日の夜、いつものように好物のウェットフード、栄養価が高いドライフードなどを器に入れ差し出したが、まったく口をつけなかった。(文:辻ひかり)

二度目の体調不良で再び保護にトライ、緊張の瞬間

地域猫時代、毎日2回よく食べていた

外猫も家猫と同様に毎日同じ食べ物では飽きるため、複数の種類をローテーションしている。食べないときには、香りが強いものや嗜好性の高いフードをあげてみる。だがこのときの杏奈は何を出しても食べなかった。動物病院に連れて行くしかないと思った。

杏奈は2019年の冬に体調を崩したときには、具合が悪いのにキャリーバッグを見た途端に逃げた。だがあれから1年以上が経っている。もうキャリーバッグを忘れた頃だろうし、当時より懐っこくなり、今度こそ保護できるのではないかと直感的に感じた。

すぐさまキャリーバッグを取りに家に帰った。私は捕獲器を使わず素手で保護するときには、プラスチック製で、側面だけでなく上側も開閉できるタイプのキャリーバッグを使っている。上から入れるほうがやりやすいからだ。上蓋を開けた状態で、音を立てないように杏奈の近くに置いた。もっとも緊張する瞬間だ。

杏奈にはやはりキャリーバッグの記憶がないようで、警戒心はなかった。そこで私は息を殺しながら杏奈の首回りを優しく撫でた。緊張の瞬間だ。甘えてきたところで脇の下に自分の片腕を入れ、もう一方の腕でお尻を包み込み、体を引き寄せた。それから数秒もしないうちに上からキャリーバッグに入れて、蓋を閉めた。ようやく呼吸ができた。

猫風邪と診断、推定7、8歳と言われ驚く

保護からしばらくして、先住猫のベジとも仲良くなる

杏奈を家に連れて帰り、先住猫たちとは別の部屋に置いた。翌朝、動物病院へ連れて行くと猫風邪だと診断された。歯の状態や血液検査から推定7、8歳だと言われた。思っていたより年を取っていたので、驚くとともに保護して良かったと安堵した。

抗生物質の注射を打ってもらい、獣医さんがちゅーるを差し出したら杏奈は舐めてくれた。しばらくしてウェットフードも食べるようになり、ドライフードもしっかり食べられるほどに回復した。

杏奈は体調は戻ったものの、当時は家族のなかで私にしか懐いておらず、見知らぬ人には懐くのにさらに時間がかかること、なにより思っていたより高齢だったことから、家で飼うことに決めた。

出会ってから保護するまで2年半も時間がかかった猫は杏奈が初めてだ。出会うなりシャーっと威嚇して猫パンチしてきた猫が、いま家のソファやベッドで寛いでいる。今年で推定13歳ぐらいになる。これ以上の幸せがあるだろうか。

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