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「責任ある変革への挑戦」出光興産が推進するDX「スマートよろずや」がサービスステーションの新たな価値を切り拓く

出光興産株式会社 執行役員CDO・CIOの三枝幸夫さん

全国各地でサービスステーション(ガソリンスタンド)ネットワークを展開する出光興産株式会社(以下、出光興産)は2030年に向けた経営ビジョンとして「責任ある変革者」を掲げ、デジタル技術を用いた事業変革や新たな価値創造に向けて挑戦を始めた。

温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル」「脱炭素社会の実現」に向けてエネルギーの転換期を迎えている今、出光興産が挑戦する次世代に向けた変革。その取り組みを象徴する「スマートよろずや」構想とは。執行役員 CDO・CIOの三枝幸夫さんに話を伺った。(文:千葉郁美)

「3つの共創」で事業全体を変革していく

――御社のビジネスプラットフォームの進化においてデジタル技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要な位置づけとし、その取り組みが評価されてDX銘柄2021(編注)にも選定されました。DXを進めていく上で、どのようなビジョンやコンセプトを持って取り組まれているのでしょうか。

出光興産のDXビジョンは「Human-centered Transformation」。デジタルの力で人の成長を加速させ、お客様・地域・社会に貢献していくためのDXをやっていくということを掲げています。出光興産は人間を中心とした考え方である「人間尊重」を経営の原点としており、それはDXを推し進める体制においてもしっかりと根付いています。

ひと口に「DX」と言っても様々な解釈があると思いますが、当社ではビジネスプロセス全体をデジタル技術で変革させ、新たな社会価値・顧客価値の創造や従業員体験を向上させていく活動をデジタルによって加速させることがDXであると定義しました。当社が取り組むのは次の「3つの共創」です。

従業員の新しい働き方を創造する「Digital for Idemitsu」。顧客との共創によって新たな価値提供を進めていく「Digital for Customer」。そして企業間連携により大きなシナジーを生み出す、ビジネスパートナーとの共創「Digital for Ecosystem」。

この3つの”共創”によって事業全体のポートフォリオを変えていく、出光興産が「2030年ビジョン」で掲げた「責任ある変革者」を実現していこうとしています。

サービスステーションからコミュニティステーションへ。地域を支える「よろずや」になる

――変革に向けた具体的な取り組みを教えてください。

まず脱炭素社会の実現に向けた挑戦があります。我々が現在保有している製油所や工場などを、グリーン水素やグリーンアンモニアなどの再生可能エネルギーを供給する拠点とする、または地域の廃棄物をリサイクルする資源循環のハブとしていく。この取り組みを「カーボンニュートラル・トランスフォーメーション」と名付けて、「CNXセンター」にしていこうと構想を進めています。

しかし、ただ拠点を変えていくだけではカーボンニュートラルの実現には至りません。資源循環型のハブになるには、新たなエネルギーや素材をマーケットでしっかりと価値に変えていく拠点となる必要があると考えています。

そこで、我々の持つサービスステーションのネットワークを利用してマーケットに供給していく、そうした取り組みを「スマートよろずや」として始めようとしています。

――「スマートよろずや」について詳しく教えていただけますか。

全国に約6300箇所ある当社系列サービスステーションを活用し、従来の給油やカーケアサービスに加えて様々なサービスを提供する拠点として、地域の人々の暮らしを支えるサービスを展開しよう、地域のいわば「よろずや」のような存在になろう、という構想です。

次世代モビリティやコミュニティの創生に資するサービスを提供することで地域の生活の質を上げて、便利で豊かな社会を作っていきたいと考えています。

――サービスステーションを地域の「よろずや」として活用していくというのは面白い構想ですね。具体的にどのようなサービスを展開されるのでしょうか。

キーコンテンツとなるのは超小型電気自動車による次世代のモビリティサービス(MaaS)です。株式会社タジマコーポレーションと共同開発した超小型EVを、シェアリングやサブスクリプションサービスとして提供していこうと考えています。

そのほか、ドローンによる物流拠点としてサービスステーションの可能性を検証するなど、様々な取り組みを進めているところです。

また、我々のアセットだけでは解決できない地域の課題や必要とされるサービスも当然ありますので、スタートアップ企業などと連携してサービスの幅を広げていこうと考えています。一定の面積のあるサービスステーションであれば、キッチンカーや小売の販売車、MRI等の健診車両など、移動式のサービスが全国各地のサービスステーションを巡ってサービスを提供して回ることもできるわけです。

こうした「スマートよろずや」が実現すると、地域住民にとっては必要な時に必要なサービスを受けられる場となり、地域固有の課題を解決するエコシステムが構築されます。我々の持つ場所とエネルギー、リアルな接点、そしてデジタルを掛け合わせたプラットフォームを提供していきたい、そう考えています。

イノベーションを起こす人財育成にも注力

――事業転換を進める上では、専門性の高い新たな人財が必要となる側面も多くなるように思います。

そうですね。当社の従業員はこれまで一生懸命に燃料を売ってきて、新たな事業を作るということを経験してきた人が少ないのです。新しい発想が生まれやすい環境を作るべく、イントレプレナーな人財を育成して事業転換を加速させることを目的とした「三つの塾」を2021年7月に立ち上げました。

一つは先に触れました「スマートよろずや」の事業を実行・推進できる資質を持った人財を育成する「スマートよろずや塾」、もう一つはイノベーションに関する風土醸成、新規事業創出を実行できる人材育成のための「ビジネスデザイン塾」。そして、カーボンニュートラル・CNXを実現するための人財を育成する「CNXセンター塾」です。

よろずや塾とビジネスデザイン塾では、社会課題からニーズを発掘して、どういったビジネスが実現できるかというところの座学をするほか、いいアイデアを絞り込んで実際に試してみる、実践することも予定したプログラムになっています。CNXセンター塾は、カーボンニュートラルな拠点にしていくために必要となる技術や知識に関する専門性の高いカリキュラムになっています。

――これまでの御社にはなかった画期的な取り組みがスタートしたのですね。新たなアイデアから新規事業に発展していく、そんな期待が高まります。

この人財育成塾のコンセプトは、いろいろなアイデアを出し、まずはやってみることです。おそらく失敗もたくさんすることでしょうが、失敗も財産。その失敗を糧に、「次こそはもっといいものを作ろう」という人たちが育ってくれたらいいなと思っています。

この取り組みには、各塾で20人程度が半年ほどの期間参加します。半年で約60人、年間約100人として10年で1000人になるわけです。それだけのイントレプレナーが育てば出光興産はすごい会社になる。そんなイメージを持って、今後も取り組みを進めていきたいと考えています。

(編注)東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を経済産業省と東京証券取引所が選定し紹介するもの。

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