まもなく開戦から1カ月となるロシア・ウクライナ戦争。ニュースやSNSでは、ウクライナに暮らす人たちの想像を絶するような苦しみ、いつ何が起きるかわからないという緊張感が、リアルな映像とともに伝えられている。(文・咲田さくら)
言葉を絶するような光景をどう受け止めていいのか、戸惑っている人は少なくないようだ。日本国内でも、ロシア料理店の口コミに嫌がらせが書き込まれるといった事件が起きている(『朝日新聞』2022年3月8日付朝刊)。
関東地方の男性は「ロシア・ウクライナ戦争のことをずっと話し続ける妻が心配です」とこぼす。
「あなたは何も感じないの?」
「妻は社会問題に関心があるタイプではなかったのですが、今回テレビで報じられた戦争被害の状況に衝撃を受けたようで、目覚めてしまいました。妻はさっそくウクライナ大使館に寄付。その後もどんどん関心は高まるばかりで、仕事の合間にもウクライナ情勢のニュースのリンクをLINEで送ってくるようになりました」
「多い日には1日に20回くらいLINEが来ます。こちらも仕事中なので適当に返事をしていたところ、『あなたは何も感じないのか!!』とLINEはもちろん、自宅でも怒られるようになりました。私が『心が痛むね』と言っても『それくらいしか感じないのか』と火に油。ついには『あなたには人の心がない』とまで言い出しました。こういったやりとりが、この3週間あまり2日に1回は繰り返されています」
男性も無関心なわけではなく、今回の戦争には心を痛めているという。
「私なりに考えて、ウクライナ出身の人が経営している店でチョコレートを買ったりしていたのですが、そのチョコがロシア製だったので、かえって妻に激怒されました。とにかくロシア関連のものは何でも嫌悪の対象になっています」
「最近は、だんだんエスカレートしてきて『プーチン○ね』と呪詛のように何度も唱えるようになりました。頼むから子供の前ではやめて欲しいのですが……。これ以上エスカレートしないことを祈るしかありません」
男性は「こんな戦争は一刻も早く終わってほしい」と話していた。