犬の毛でフローリングの床が2倍以上滑りやすくなる 「バナナの皮は滑る」でイグノーベル賞・馬渕名誉教授が共同調査
実験では、センサー上に設置したフローリング床材に人の手でイヌの足裏(肉球)を押し付けて摩擦係数を調べた。犬の毛量を複数パターン用意し、フローリング材に犬の毛がある場合とない場合の摩擦係数5パターンを測定した。
4月15日、室温20度、湿度70%、イヌの足裏湿度55.8%という環境で、オスのオーストラリアン・ラブラドゥードル(体重10.5キロ)の被験犬で実施
その結果、イヌの素足(フローリング材に抜け毛がない)の場合は摩擦係数0.478。これは人での調査によるとまったく転倒しない数値となる。しかしイヌの抜け毛(人が1日に抜ける毛量相当の約150本)を設置した場合、摩擦係数は0.232。これは約3人に1人が転倒する数値で、素足の状態より2倍以上滑りやすくなっていることが分かった。
また抜け毛が増えると摩擦が低下する結果も出た。ごくわずかの抜け毛でも明らかに滑りやすくなるようだ。
この実験について馬渕名誉教授は「足裏で滑ると、転倒して深刻な事故になったり、関節部分に傷害が発生したりします。それは、ヒトでもイヌでも同じこと」とコメントしている。
「我々の足裏が滑らないのは、水分の豊富な皮膚組織が接地することで、水の凝集力により摩擦が増すからです。抜け毛や被毛がその間に入り込むと、その力が阻害されて滑ります。体毛は繊維なので、特に滑りがよいのです」
実際、滑りやすい床にはさまざまな危険が潜んでいる。同リリースによると、特に小型犬の場合、脱臼や骨折などの怪我を負うリスクも高くなると言われているという。高齢犬の場合には、筋力が低下し肉球も乾きやすいため、さらに滑りやすくなる。こまめな掃除の他に、肉球まわりの被毛のこまめなカットや滑り止めのついた靴下を着用させて対策を行うことが必要のようだ。