日本の「幸福度ランキング」下落 脳科学者は「他者のアラ探しは一生に一度もしない世代を育てること」を提唱
国連が3月14日に発表した2018年版の世界幸福度ランキングで、日本は前回より順位を3つ落とし54位という結果になった。
15日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)がこれを紹介すると、脳科学者の苫米地英人氏が「日本人の自己評価が低い」ことを指摘。次世代の教育として
「他者のアラ探しや悪口は一生に一度もしない言わない世代を育てる」
などとコメントした。(文:okei)
日本は「人生の選択の自由」の自己評価が中国よりも低い
「世界幸福度ランキング」は、国連の関連機関が世界156の国と地域の人々に幸福度を尋ねてまとめた「世界幸福度報告書」の結果だ。幸福度の指標として、次の6つがある。
・一人当たりのGDP
・社会的援助
・平均寿命
・人生の選択の自由
・寛容性
・政治腐敗レベル
苫米地氏はこれを、「客観評価」と「主観評価」に分けて解説していた。日本は、客観統計である「一人当たりGDP」は22位、「平均寿命」2位と高い。だが、アンケートに答えた人の考えである「主観評価」は、軒並み顕著に低いという。つまり、「自己評価が低い」のだ。
さらに詳しく見ると、日本は
「『人生の選択の自由』の自己評価では総合86位の中国よりも低い」
というから驚きだ。中国は言論統制が厳しいが、日本は「人生の選択の自由」は法律的には認められている。しかし、「本人たちがそう感じてしまう社会」であると苫米地氏は問題視する。
「日本はGDPや平均寿命で日本より遥かに劣る国と比べても、幸福度が顕著に低い」
と指摘していた。
「やりたいことだけ」を「やりたいだけやる」を、褒め合おう
これを反省して改善していくためには、「高エフィカシーカルチャー(自己評価の高い文化)を日本に導入すべき」だという。「寛容性がない」「人生の選択の自由がない」と感じるのは、お互いが縛り合ってしまっているからなので、
「”やりたいことだけ”を”やりたいだけやる”ことを、お互いに高く評価する」
と提唱している。やりたいことだけをやり、お互いに上手くいったら思い切り褒める、上手くいかなくても否定的なことは言う必要がないという意見だ。
さらに「次の世代は絶対こうして欲しい」として、「他者のアラ探しや悪口は一生に一度もしない、言わない世代を育てる」と持論を語った。
確かに理想的だが、とても難しいことのような気もする。日本の教育は小学生から相対評価、つまり他者と比べてどうかという評価方法になっている。その上、「他人の悪口を言ってはいけない」などの道徳は教えるに決まっているが、それが完璧にできる大人は少ないし、ほぼいないと言ってもいい。
しかし何もしなければ幸福度は下がる一方なのだから、こうした意見を発していく意義はあるだろう。個人的には「お互いに、成功したら褒め讃える文化にしよう」という意見には賛成だ。
6回目となる今調査は、1位がフィンランド、2位ノルウェー、次いでデンマーク、アイスランド、スイスの順で、毎回北欧諸国が上位を占めている。プロ野球解説者の金村義明氏は、「やっぱりサウナはいいんですかねえ」と笑いを誘っていた。そういうことで、良いと思う。