上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、宅配デリバリーサービスで急成長する出前館を取り上げます。
出前館社員の平均年収は561万円
最新データ(2020年8月期)によると、出前館社員の平均年間給与は561.0万円。前期よりやや減っていますが、ここ数期では大きく増加しています。
- 2016年8月期:522.9万円
- 2017年8月期:521.7万円
- 2018年8月期:554.7万円
- 2019年8月期:563.3万円
- 2020年8月期:561.0万円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。
出前館の採用サイトを見ると、営業職では新卒採用でも「年収 350万円~440万円」のレンジ制。月給と業績連動賞与、住宅手当に、インセンティブが加わります。
出前館は、1999年「夢の街創造委員会」という社名で創業。2006年に大証ヘラクレス(2010年にジャスダックと市場統合)上場を果たし、2019年11月に現在の社名に変更しています。
2016年からは、自店で配達員を持たない店舗の料理を配達代行する「シェアリングデリバリー」を開始。売上高が急増したものの、2019年8月期と2020年8月期は販管費が膨れ上がり、営業赤字および最終赤字に。
2020年3月にLINEと資本業務提携を締結し、実質的な子会社となっています。
出前館社員の平均年齢は34歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
出前館社員の平均年齢は34.5歳。ざっくり言うと、30代半ばで500万円台後半をもらっているということでしょうか。
- 2016年8月期:64人(31.8歳・2.8年)
- 2017年8月期:72人(32.2歳・3.2年)
- 2018年8月期:86人(33.0歳・3.1年)
- 2019年8月期:139人(35.5歳・2.5年)
- 2020年8月期:267人(34.5歳・2.2年)
出前館(単体)の従業員数は、ここ数期で急増しており、2020年8月期は前期の2倍近く、4期前の4倍超に。グループ全体(連結)では312人となっています。
出前館のセグメントは、シェアリングデリバリーサービスの「出前館事業」と、飲食店向けに焼酎などの通販を行う「通信販売事業」の2つ。2020年8月期は、売上高の9割超を出前館事業があげています。
有報には「出前館事業」の売上高の内訳として、「出前館サービス利用料」と「配達代行手数料」「その他」があり、2020年8月期は出前館事業の約6割を「出前館サービス利用料」があげています。
ただし前年同期比では「配達代行手数料」が7倍超と急激に伸びており、コロナ下の巣ごもり需要を受けて急成長していることが分かります。
幅広い職種でキャリア採用実施中
出前館事業は、加盟店から受け取る「初期加盟料」、店舗ごとにサイトへメニュー情報などを掲載する「基本掲載料」、利用者の注文金額に応じた「手数料」を得ています。このほか、サイト上へのバナー広告およびテキスト広告、会員向けメール広告配信サービスも行っています。
出前館のキャリア採用サイトには、加盟促進の営業担当や本社マーケティング担当、広報・PR担当からデータアナリスト担当まで、幅広い求人が掲載されています。
決算は赤字とはいえLINEという後ろ盾があり、事業拡大のための投資段階であって、経営の安定性には不安はないでしょう。成長企業で働きたい人には魅力的な職場となるかもしれません。
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