職場で今、おじさん社員が若い女性社員に話かける時に「これはセクハラになるんじゃないか?」みたいな不安を常に抱えているなんてケースがあると聞く。例えば「お、髪切った?」みたいな一見何でもない声かけが、人によってはセクハラだと感じる場合もあるという。
僕が以前に会社員をしていた時は、まだそういう発言がセクハラに直結するとは言われなかった。こういうセクハラの捉え方の変遷については「やりにくくなった」みたいに思う人もいるかもしれない。ただ、セクハラという行為が許されていいはずがない。
当人に自覚がなくても、相手が嫌だと思えば、それはやっぱりセクハラなのだ。会話するにあたって相手に不快感をあたえないように心がける。これはやっぱり、同じ職場で働く仲間を思えば、やって当然の努力だろう。(文:松本ミゾレ)
繁忙期乗り切ったらなぜか勝手に二人だけの飲み会がセッティングされていた
さて、今回のテーマは言うまでもなくセクハラ。だが、その被害者は男性だ。2ちゃんねるに先日「女上司(36・独身)からのセクハラが地味にキツいんだが」というスレッドが立った。36と言えば僕と同い年。男女ともに、この年齢ぐらいになると流石に年下への言動には細心の注意を払うもんだ。
それこそ僕だって、年下の女性と話をする機会があったら、まず相手がセクハラだと思わないような話題を出す。それは当然のことだし、そもそもいい大人なんだから、若い人に嫌な思いをさせちゃダメなのだ。
スレ主は上司のことを「悪い人ではないし仕事でお世話になっているんだけど」と前置きした上で、具体的に彼がセクハラと感じた事例を挙げている。
・繁忙期乗り切ったらなぜか勝手に二人だけの飲み会がセッティングされていた
・仕事を褒められる際「〇〇くんありがとう、結婚したいわー」などと言う。すっごい反応に困る
・お菓子とか顔パックとかお土産とかたくさんの物を渡される
・何かあるとLINEで写真を送ってくる(旅行とか)
部下思い……と書いてしまえばそれまでなんだろうけど、やっぱり大事なのは部下の視点。
こういう行為に対してプレッシャーを覚えている以上、定義としてこれはセクハラになるんだろう。本人がそう思っている訳だからね。
特に二人だけの飲み会を勝手にセッティングするって、例えばおじさんがこんなことを女性の部下にやらかしてりゃ「セクハラじゃない」なんて言い訳は通用しないわけだし。
その上でスレ主は、別に女上司の告発を検討しているわけでもない。「あくまでも仕事上の関係にしたいだけ」と主張している。
「これはもうセクハラなので」って本人に伝えるしかなくない?
この悩みに対して、スレッドには「それなんてエロゲ」「その上司とは寝られるの?」みたいな感じの、クソしょうもない茶々を入れるような書き込みが目立つ。「おいおい、当人が悩んでるのにそりゃないだろ」とイライラしてしまったが、そんな中で参考になるアイディアが寄せられている。
例えば「『彼女がほんと可愛いんですよねー』って言う」という意見。これなんてなかなかの妙策ではないだろうか。
おそらくだけど、相手に恋人がいると分かったら、それとなくトーンダウンするだろうし。それが例え嘘であっても、これは身を守るための嘘だし、相手のキャリアを傷つける恐れもない。一番“やさしい嘘“だろう。
同じようなセクハラに苦悩している人も、きっと今このコラムを読んでいるだろう。あなたが男性でも女性でも関係ない。「あ、これはセクハラだな」と思ったら、その感覚は間違ってないのだ。あくまでも自分がそう思ったらそうなのだ。
他人の言う「こんなのがセクハラになるわけない。考えすぎだろ」を真に受けると、状況は改善しない。なので、意見として挙がっていた「恋人がいる」アピールをすることは僕もオススメしたい。それでもまだ事態が収束しないなら、会社の人事に相談して対応してもらう、もしくは「いや、流石にそれはもうセクハラだと私は感じています」と本人にマンツーマンで伝えるしかないよなぁ……。
もちろん言い方はカドが立つけど、はっきり伝えないと分からない人って世の中には多い。そういう人に対しては、一線を越えたと思った時に「あ、それはもうダメ」と伝えないとマジで暴走する。
僕の話なんだけど、20代半ばにアルバイトをしていた頃、得意先の好色おばさんみたいな人に目をつけられて散々な目に遭ったことがある。同じ思いは誰にもしてほしくない。セクハラは社会にとって明確な悪だ。