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「休日には創業者宅周辺のゴミ拾い。その後は川原で理念を叫ぶ」 過酷すぎる飲食企業でのエピソード

画像はイメージ

長時間労働が当たり前の会社で働いていると、正常な判断力を奪われてしまう危険性がある。千葉県の30代前半の男性(企画・マーケティング・経営・管理職/年収350万円)は、10年以上前に新卒で入社した、一族経営の飲食関係の会社での壮絶な体験を振り返る。

「新入社員の研修期間中は、3か月間一応週休2日制で、8時間労働はほぼ厳守されていましたが、研修期間終了、正式に店舗配属となると週休1日制となりました。入社前の案内では、月6日は休みがあるはずでした。店長だと月イチの休みがあればいいほうでした。バイトリーダー的立場の女性の方も同様です」

実労働時間は「14時間以上が常態化」しており、「人手不足の店舗ではそれ以上になっていました」と男性は語る。(文:福岡ちはや)

「タイムカードは『9:00~18:00』と自分たちで記入し、判子を押して提出していました」

その会社の従業員は、店舗の営業、閉店後の食材の仕込みや清掃、売上報告書の作成と14時間かけて働いたあとも、本社に書類を届ける仕事をこなさなければならなかった。本社の反対方向に住んでいた男性は、

「往復の時間を考えると1時間以上は帰宅時間が遅れてしまいました」

と打ち明ける。おそらく、当時は睡眠時間もろくに取れていなかったのではないだろうか。さらに、月1回は「24時間勤務の日」という地獄の定例イベントが待っていた。

「店舗のありとあらゆる場所を従業員で清掃し、翌日にチェックが来ます。点数が低いともう一度チェックに来るので、みんなで店舗をピカピカにしました。もちろんタイムカードは切っていません。無償奉仕です」

実際はこれだけ働いているのに、労働時間としてカウントされるのはわずか8時間だったという。その職場では、月末にまとめてタイムカードを記入するのが慣習で、「『9:00~18:00』と自分たちで記入し、判子を押して提出していました」と男性は綴った。

ゴミが少ないと『真面目にやっていない』と指摘される

そういうわけで、当時の男性にとって公休日はとても貴重なものだった。しかし、そんな公休日ですら「創業者のありがたいお話を聞く研修のようなものがあると参加しなければなりませんでした」という。

「創業者のご自宅付近のゴミ拾い、それが終わると近くの川で大声で理念か何かを叫びました。ゴミが少ないと『真面目にやっていない』と指摘される可能性があるので、自動販売機横のゴミ箱から空き缶や空きペットボトルを持って行ったこともありました」
「創業者のありがたいお話を聞くと、感想文を筆ペンで書いて提出。遅くても翌日の朝までにFAXで送る必要がありました」

正常とはいえない労働環境の中、馬車馬のように働き続けた男性が我に返ったのは、年末のことだった。

「5日間くらい休業日があり、冷静になって見直すことができ、精神的にも体力的にも限界かなと思って退職を決意し、翌年に退職しました。その後、某飲食店のワンオペがメディアで取り上げられたり、自殺した従業員の方がニュースで大きく取り上げられたので、今はホワイト企業として従業員の権利を守ってくれるようになっていることを切に願います」

労働時間が異常に長い会社に入ってしまったら、正常な判断力があるうちに退職するのが賢明だろう。

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