NECのDX:国内ITサービスの「コアDX」事業が大きく伸長 中期経営計画をけん引 | NEXT DX LEADER

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NECのDX:国内ITサービスの「コアDX」事業が大きく伸長 中期経営計画をけん引

NECのDX支える100人のプロフェッショナル達~NEC DX Innovators 100~ [NEC公式] より

NEC(日本電気)は1899年、日本で最初の外資との合弁会社として設立されました。1932年に経営を住友本社に委託、戦時中に資本提携を解消して住友通信工業に社名を変更しましたが、1945年に社名を戻しています。

現在は「AI」「通信」「セキュリティ」の3つの領域で高い競争力を有し、2023年3月期の売上収益は3.3兆円、うちシステム・インテグレーションなどの「ITサービス」が53%、ネットワークインフラなどの「社会インフラ」が32%、ヘルスケアなどの「その他」が15%となっています。(NEXT DX LEADER編集部)

成長事業に「デジタルガバメント」などを選定し強化

NECは2021年5月に「2025中期経営計画」を発表しました。Purpose経営として「暮らし」「社会」「環境」の3つからなる「NEC 2030VISION」を策定しています。

また「中期経営目標」として、EBITDA成長率9%(2020~25年度)とエンゲージメントスコア50%(2025年度)、2025年度の売上収益3.5兆円などの目標を掲げています。

2025中期経営計画(2021年5月12日)より

2025中期経営計画(2021年5月12日)より

目標達成に向けた事業戦略方針(NECの成長モデル)は、「強みの技術を顧客価値に転換し、日本を含むグローバルでの事業フォーカスと、国内IT事業のトランスフォーメーションで成長を実現」するとしています。

2025中期経営計画(2021年5月12日)より

2025中期経営計画(2021年5月12日)より

そして、既存(ベース)事業の収益性向上に加えて、成長事業である「DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)」「グローバル5G」「コアDX」「次の柱となる成長事業」で売上収益および営業利益の伸長を確保していくとしています。

特に「コアDX」については、国内IT事業のDXとして、これまで個別最適で行っていたデジタル化を、以下の4つの取り組みで全体最適化するとしています。

  • コンサルからデリバリーまで一貫したアプローチで提供価値拡大
  • ICT共通基盤技術とオファリングによる売上総利益改善と価格戦略
  • ハイブリッドIT(クラウド/データセンター/オンプレ)アライアンスや自社製最適化により競争力強化
  • 新たな事業機会(社会/企業改革)技術/政策連動/E2Eの実装力を活かしDX領域拡大

従来の共通基盤を「NEC Digital Platform」に再編

NECは、2023年11月30日開催のNEC IR Day「ITサービス コアDX」の説明を行っています。コアDXは2023年度以降、従来の共通基盤などを再編した「NEC Digital Platform」を中核に「コンサルティング起点ビジネス」「スマートシティ・インフラ協調モビリティ」の領域で事業を進めています。

コアDXは、全社の中期経営計画達成に受けたキードライバーで、売上収益を2022年度の3兆3,130億円から2025年度には3兆5,000億円に伸ばすことを目指しています。

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

コアDXの中核となる「NEC Digital Platform」は、NECが提供するDXを支援する共通基盤です。AI/IoT、クラウド、セキュリティ、コンサルティングなどの「製品・サービス・ノウハウ」と、データを収集・蓄積・分析する「データ基盤」、DXに必要なアプリケーションを迅速かつ効率的に開発する「開発基盤」で構成されています。

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

「NEC Digital Platform」により、製造業では「生産設備のデータ分析による効率化」、流通業では「顧客データ分析によるパーソナライズされたサービス提供」、金融業では「AIによる不正検知」などの活用が行われています。

「コンサルティング起点ビジネス」については、完全子会社のアビームコンサルティングを起点に、「素材化学×バリューチェーン変革」「総合商社×サステナビリティ経営」「エネルギー×未来創造」など、顧客の産業/経営アジェンダに対応した変革テーマの創出と変革ロードマップの策定を行っています。

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

ITサービス コアDX(2023年11月30日)より

「マルチクラウド戦略の推進」については、競争力強化に向けたアライアンスを継続。印西データセンター内に、2022年6月には「Microsoft Azure」、2023年5月には「AWS」、2023年7月には「Oracle Cloud Infrastructure」の接続拠点を開設しています。

「スマートシティ・インフラ協調モビリティ」の領域では、2023年度見通しの130億円から、2025年度には766億円の売上収益を目指しています。これは政府の「デジタルライフライン全国総合整備計画」との連動によるもので、自動運転や社会実装を加速するためのハード・ソフト・ルールのインフラを整備するものです。

データドリブン経営の実現と「社外への拡販」目指す

DXを推進するためのNEC社内のビジネスインフラ整備については、「2025中期経営計画の進捗およびCFO 領域」(2023年11月30日)の「コーポレートトランスフォーメーション:経営の高度化」で取り上げられています。

「経営高度化に向けたデジタル経営基盤の再構築」では、ITシステムの刷新により、商材や値付け、商談プロセスなどのあらゆる情報を集約し、見える化を図るとしています。

そして「データドリブン経営の実現」では、見える化したデータを共有し、環境変化に柔軟かつスピーディな意思決定を可能にするデータドリブン経営を実現。蓄積したノウハウをお客さま向けオファリングメニューとして「社外への拡販」を行うとしています。

2025中期経営計画の進捗およびCFO領域(2023年11月30日)より

2025中期経営計画の進捗およびCFO領域(2023年11月30日)より

2023年11月30日開催のNEC IR Dayでは、「2025中期経営計画の進捗およびCFO 領域」について説明を行っています。中計2年目の2022年度までは、国内ITサービスは想定以上に伸長しているものの、グローバル5Gは海外市場の立ち上がりに遅れが生じているとのことです。

これを受けて、全社中計目標は据え置くものの、事業環境の変化を考慮して各事業の計画をアップデートしています。国内ITサービスはさらなる成長を見込む一方、グローバル5Gは戦略を見直して収益性を改善、政府防衛予算の増加に伴いナショナル・セキュリティ事業の成長を織り込むとしています。

DX人材の育成含む「タレントマネジメント」に取り組む

このほか中期経営計画では、文化面の施策として、2025年度の(従業員)エンゲージメントスコア50%に向けて、「人・カルチャーの変革」「ビジネスインフラの整備」「顧客との未来の共感創り」に取り組むとしています。

「人・カルチャーの変革」としては、「多様なタレント人材の活躍」「働き方マインドセット改革」「適時適所適材の実現」に加え、DX人材の育成を含む「タレントマネジメント」に取り組むとしています。

「ビジネスインフラの整備」としては、全社基幹システムのクラウドシフト(人事/調達等)、プロセス/制度/ITシステムの一体的リデザイン、データドリブン経営の強化(AI活用・データ構造最適化)に取り組むとしています。

YouTube:NECのDX支える100人のプロフェッショナル達~NEC DX Innovators 100~ [NEC公式]

考察記事執筆:NDX編集部

NECのDX支える100人のプロフェッショナル達~NEC DX Innovators 100~ [NEC公式]の再生回数推移

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