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入社前「ノルマはありません」→未達だと上司が地味な嫌がらせをしてくる会社だった 2年で退職した女性

画像はイメージ

入社したら聞いていたのと違った、というのはよくある話。あまりにも違うのであれば働き続けるのは無理だろう。

「10年ほど前に新卒で入った保険会社が、定着率がとても低い会社でした。私を含め、20代の若い人が5年ほどで10人入ってきましたが、みんな2年で辞めていきました」

こう打ち明けた30代女性(長崎県)に、一体なにがあったのか、編集部は詳しく聞いた。

「すべてにおいて嘘ばかり」

入社したのは外資系の有名保険会社。ハローワーク経由で就職したという。女性は「すべてにおいて嘘ばかり」と断罪するかのように語り始めた。

女性は保険会社の窓口スタッフとして採用された。求人には「契約者様の住所変更、保険金請求の手続きなどを行います。ノルマはありません」と書いてあったそうだが、これが「嘘でした」と打ち明けた。

生命保険業界では「生命保険募集人教育制度」を設けている。入社したら、まず基礎研修を受け、試験に合格する必要がある。

「生命保険を取り扱う会社は必ず従業員に生命保険募集人の資格を取らせます。私が受けた当時は、毎月1回試験があり、3日勉強すれば誰でもとれるくらいの簡単なものでした。7割ほど正解できれば合格で、100点満点の人もたくさんいました」

と内情を明かす。女性ももちろん合格したが……

「そのあと、1か月ほど研修がありましたが、テキストを読むだけのもので、みんな眠くなって寝てました。その後、すぐに契約、契約、契約…と無理なノルマを課されました。ノルマを達成したとして、どれくらい給与が上がるのかは言いませんでした」

一体どのようなノルマを課されたのか。

「保険料ベースで毎月5万円、件数で言えば、だいたい7~8件です。ただし、1月に10万円の契約を取っても、2月に4万円だったら、2月はノルマ未達成扱いされます」

女性はノルマを達成するためにあらゆる手を尽くしたようだ。

「自分で保険に入ったり、知り合いに入ってもらったり。でもそれにも限度がありますし、知り合いはあまり入れたくなかったので、たまたま保険に入りたい人だけにしか話はしませんでした。2年在籍していて、ノルマ達成できていた月は2か月くらいしかないです」

手取り12万円で有休も取得できない

ノルマ未達でも減給されることはなかったそうだが、60代ほどの女性上司に問い詰められたという。この上司は「自分に非があれば、下っ端にも謝れる人」だったが、ノルマに関しては厳しかった。当時の女性の給料は「額面は15万円で手取りは12万円」と決して多くない額だが、ノルマが未達だと、

「そんなので給与もらえると思ってるの?」

と嫌味を言われたこともあったそう。嫌がらせを受けたこともあった。

「契約件数が少なくノルマ未達の状態が続いていて、上司の気分が悪いときに、机周りなどをぐちゃぐちゃにされました。スタッフは3人ほどいましたが基本的にみんなノルマ未達成で、上司も社長から詰められることがあったみたいですので…」

荒らされたのはスタッフが共用していた机や棚だった。そこにはパンフレットや、お客に渡すタオルやボールペンなどの粗品を入れていた。

「スタッフでこのパンフレットはここ、とわかりやすく置いていたのですが、上司にパンフレットをすべて重ねられました。『数字が取れないならどうすればいいのか考えなさい』などスタッフに文句を言いながら机をいじっていたので、嫌がらせでわざとやっていたと思います。見にくくて探しにくくなるのでやめてほしかったです。粗品も、お客様にすぐに渡せるように少し広げて置いていたのですが、『こんなふうに広く置くから契約が取れないんだ』と言いながらまとめて置かれました」

減給されなくても、こうした地味な圧力が続くとキツイだろう。とうとう「辞めてもらいたいのか」と思い詰めた女性は、上司に辞めると伝えたら、

「『一人暮らしを始めたばかりでやっていけるの?』となぜか引き留められ、すべてが謎でした。一人暮らしをしたら会社を辞めないとでも思って、勝手に足元を見ているようでした」

結局、入社から2年で退職することにした女性。決め手は何だったのだろう。

「昇給は月500円上がっただけ。有給が取れない、シフト制だったので休みの希望日を言うと怒られる。特定の人だけひいきされることがあったからです」

そもそも入社前に「ノルマはありません」と聞いていたのに毎月厳しいノルマを課せられ、未達だと嫌がらせをされる。今後も昇給を期待できず、休みも好きに取れないような職場を辞めたくなるのは女性だけではないだろう。

「私を含め、20代の若い人が5年ほどで10人入ってきましたが、みんな2年で辞めていきました。いじめられて、どんどんやめていったんだと思います。私もやめてよかったと思います」

その後、女性の働いていた店舗はほかの支店と合併された。ただ、保険会社に2年勤めたことで学んだこともあったようだ。

「基本的には保険なんて入らなくても問題ない、保険は保険会社を儲けさせるだけと分かりました。病気にかかっても高額療養費制度があります。個人的には生命保険は不要だと思っています」

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