就活控えた学生に「タダ飯」おごる動き活発化 ベンチャー企業に東大生も誘われる
2016年卒から経団連企業の選考開始が4月から8月に繰り下げになるが、その一方で「インターンシップ」や「業界研究会」などの名目で、学生へのアプローチの前倒しが水面下で進んでいる。
接触競争の一手法として増えているのが、経営幹部などが「一緒に食事をしませんか?」と学生を誘う取り組みだ。もちろん、お代は会社持ち。特に知名度の低いベンチャー企業が積極的で、有名大学の学生も「タダ飯」に誘われて参加しているようだ。
肉に続いて「寿司リーチ」や「ふぐリーチ」も
さきがけとなったのが、会員制転職サイトを運営するビズリーチが2014年1月に開始した「肉リーチ」。ビズリーチ社員の有志による「日本肉英会」が、将来有望な15年卒の学生に焼肉やステーキなどをおごる企画サイトだ。
学生がサイトから登録すると、肉英会会員からお誘いのメールが届くというもので、この取り組みをまねて高級食材を学生におごる「寿司リーチ」や「ふぐリーチ」といった取り組みを行う企業まで現れた。
ビズリーチでは、これを発展させて2014年12月に「ニクリーチ2016」を開設。登録プラットフォームを他社にも提供し、参加企業は61社にまで伸びている。ITベンチャーが中心で、楽天やディー・エヌ・エー、サイボウズ、リブセンスなどの名前もある。
ビズリーチ広報によると、ベンチャー企業は知名度が低く「どうすれば優秀な学生に会えるのか」ということが常に課題になっており、就活繰り下げで期間が短くなる中で「大企業とどう戦うか」ということに知恵を絞っているという。現在1076人の学生が登録しているというが、驚くのはその属性だ。
「東大と早慶が約3割で、MARCHの学生も多いです。友人のSNSやネットニュースをきっかけにニクリーチを知ったという人が多く、情報感度が高い学生が集まっています」
ビズリーチは自社でもこのサービスを使っており、1か月で11回の「肉会」を開催し、29人の学生と会った。肉を前にすれば学生も企業も盛り上がり、互いにざっくばらんに話し合うことができるという。
サイバーエージェントも「タダメシ」開催
社会人が就活生に「飯をおごる」パターンは、リクルーター制度を採用する大手企業では以前からあった。ただし、学生が大学OBOGを訪問する際に食事をする程度で、高級食材を全面に押し出して広く学生を集めるところが新しい。
就活生に人気のITベンチャー、サイバーエージェントも「ニクリーチ」を利用すると同時に、「タダメシ」という独自企画を2014年秋から行っている。会社側から誰が参加するか分からない「ニクリーチ」に対し、「タダメシ」は人事責任者の渡邊大介氏が担当する。
学生からの情報収集が主なねらいで、建前はあくまで選考には関係ない「フランク」な食事会。対象者は就活を控えた学生・大学院生で、大学1年生でもOK。渡邉氏のブログによると、第1回の食事会では上智大学の学生2人が参加し「最初から非常に優秀な学生と会うことが出来ました」と好感触だったようだ。参加学生もブログに、
「話を聞けば聞くほど、社風だったり考え方に共感ができて、古き良き日本の会社とベンチャーらしさをうまく融合し、体現している会社なんだな…と思いました」
と感想を書いていた。広報によると、同社では女性の採用担当者による「タダメシ」も開催。こちらは参加できるのは女子学生限定だという。今後は人事以外の部署の社員でも「タダメシ」を実施し、「学生との接点を増やしていきたい」ということだ。
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