10秒で終了する「日本一短いES」 三幸製菓「エントリー時に志望動機を聞くのはナンセンス」
新潟県に本社を置く菓子メーカー、三幸製菓が2016年卒の採用で「日本一短いES(エントリーシート)」を打ち出し、話題を呼んでいる。
近年の就職活動シーンでは当たり前の存在になったESだが、志望動機や自己PRの他に企業ごとに様々な設問が用意されていることも珍しくない。一方、同社が3月5日に公開したESは実にシンプルだ。
「あなたの連絡先を心を込めて入力してください」
ウェブ上で記入するスタイルで、ESに入る前に「おせんべいは好き?」「ニイガタで働ける?」と質問され、これに「Yes」か「No」で回答する。どちらにも「Yes」と回答すると、
「あなたの連絡先(メールアドレス)を心を込めて入力して下さい」
と表示されるので、そこに書き込むと終了だ。志望動機や自己PRもナシである。
ちなみに最初の質問でどちらかに「No」と回答すると、ESには進めず「ぜひもう一度、御自身の仕事観に照らしあわせて考えてみてください」と表示される。同社の事業の中心はおせんべいであり、入社後は約半数が新潟での勤務になるので、同社には向いてないということのようだ。
この「日本一短いES」を提出すると、入力したメールアドレスに案内が送られてくる。それによると、今後送られてくる「35の質問」に回答し、結果に応じて選考方法が決まっていくという。
ただ、いくらなんでもESがメアドだけというのは短すぎではないのか。三幸製菓人事部の担当者は、こうした疑問に対して趣旨を説明する。
「必要な情報を必要なタイミングで貰えればいいのであって、最初の段階で膨大な情報をESで出してもらう必要はありません。そこで、何が最初に必要か考えたところ連絡先だけで十分、という結論に至りました」
担当者は苦言「最近のESは作成に凄く時間がかかる」
三幸製菓では「志望動機」そのものに対しても疑問を持っており、「そもそも『この会社に入社したい』という気持ちは徐々に形成されるものです」という。志望動機さえ強ければ、入社が許されるというものでもない。
名前や大学、学部については選考過程の中で聞いていくというが、この試みには「既存のESのアンチテーゼ」という意味合いもあるという。
「最近のESは、作成に凄く時間がかかる。質問が多くて、完成させるのに何日もかかるというケースもあります。完璧なESを提出すれば、すぐに最終面接に行ける、というのならともかく、実質足切りとしてしか使われていないのに、そこまで学生に負担かけていいのか。そもそもESは必要なのか、という話です」
「日本一短いES」はネット上でも話題になっており、「三幸製菓のESは10秒で終わるとかマジだったww」「大企業は三幸製菓のESを見習うべき」という声も。同社によると、公開から10日ほどですでに数百件の応募が寄せられているということだ。
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