今回の改定で注目すべきは、企業側がテレワーク下で人事評価する際の留意点などを定めた「労務管理上の留意点」だ。
テレワークを「非対面の働き方であるため、個々の労働者の業務遂行状況や、成果を生み出す過程で発揮される能力を把握しづらい側面があるとの指摘がある」とした上で、部下に対しては求める仕事の水準をあらかじめ具体的に示し、評価方法を見える化させることが望ましい、とする。
さらに、「仕事は出社してこそ」と考えているような企業に対しては、
「テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない」
と釘を刺す。また、テレワークでは仕事とプライベートが曖昧になりがちだが、
「時間外、休日又は所定外深夜のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない」
などと見解を示している。
厚労省「信頼関係の基で質の良い適正なテレワークを」
このほか、テレワーク中の費用負担は、労働者に過度な負担が生じるのを避けるために、企業が負担する場合の限度額や、企業への請求方法について「あらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望ましい」などと記載している。
テレワーク中の人材育成については「テレワークを推進する上で、社内教育等についてもオンラインで実施することも有効である」とした上で、
「他の社員の営業の姿を大人数の後輩社員がオンラインで見て学ぶ」
「動画にしていつでも学べるようにする」
といったオンラインならではの利点を生かした工夫の具体例を挙げている。
同担当者は「労使がよく話し合い、信頼関係のもとで質の良い適正なテレワークを進めていただければと思います」とコメントしている。