それは、「20年前、20代後半の若い時の失敗です。まだ携帯電話もインターネットも普及していない時代でした」と女性は言う。
出張前日に上司に商談場所を確認したところ、「静岡にある」と聞いた女性。確かにプレゼンの主催者は静岡支店の社員だった。ここで、「本来なら営業部長さんに問い合わせていたメールの返事を確認してから準備すべきだった」と女性は振り返る。しかし……
「ちょうどその日は製作所の夏祭りの日。17時に事務所が施錠されてしまうため、メールも電話も使えなくなり、私は疑わずに静岡支店に向かいました」
「しかしながら、開催されるのは、なんと、静岡ではなく名古屋だったのです」
しかも会場名が「第一会議室」で、たまたま静岡営業所にも第一会議室があったため、「名前を見て安堵してしまい、入室して気づかずに待機」してしまったという。
「開催10分前になっても誰も来ない」
「1時間前に到着していたので、誰もいないことにも疑問を感じずに、みんな遅いなー、と、待っていました。が、開催10分前になっても誰も来ないと、さすがにおかしいと気づき始め、本社に電話してみたら、名古屋ですよ、とのこと。その時初めて、行き先を間違って来てしまったことに気がつきました」
さぞかし愕然として焦ったことだろう。女性は
「急いで新幹線で名古屋に向かいましたが、到着したら既に商談は終わっていて、会食のお弁当だけいただいて帰るという、大変はずかしい事件を起こして帰りました」
と肩を落とす。最後に、「その後、商談のたびにネタにされたことは、想像の通りでございます。同時に私は『上司の言うことは間違いがない、ということは無いんだ』と、学びました」と苦笑いで教訓を語った。