技術職の50代男性は、過去に勤めていた会社について教えてくれた。「就職氷河期突入直後に大学を卒業」し、「ワンマン社長の中規模独立系IT会社」に就職した男性。社長はワンマンだったものの、その頃は社員数も多く、ワンマンの影響を直接受けることはなかったという。
むしろ「部署の雰囲気も良かったので、先輩や後輩と仲良くやっていた」と振り返る。それでも男性は、この会社には長くいられないと思っていたようだ。
「将来の自分を想像したら仕事上や給与待遇面に一切の魅力がなかった」
男性は、「転職を決意した理由は2点」と明かす。
「先輩の様子から、将来の自分を想像したら仕事上や給与待遇面に一切の魅力がなかったこと。締め切りや納期が近くなると徹夜や休日出勤になるので、定年までこんな働き方はしたくないこと」
男性は「次のチャンスを掴むなら、若ければ若いほどいいはずだ」と判断し、その会社を4年弱で退職。「その日の仕事はその日に終わり、残業がほぼ発生しない」という全く違う業界に転職した。
「その後しばらくしてから、(前職の)社長が逮捕。会社は潰れたと聞いている」
あのまま残らなくて正解だったといえる。