「早稲田や慶應でも正社員になれたのは一握り」新卒でブラック企業に入った氷河期男性の回想【後編】 | キャリコネニュース
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「早稲田や慶應でも正社員になれたのは一握り」新卒でブラック企業に入った氷河期男性の回想【後編】

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新卒で某ドラックストアに入社した40代男性が、壮絶なブラック企業体験を回想した。そこは深夜の24時を「お昼」と呼ぶほどの長時間労働で、公休日に9時間働くことが義務付けられていたという。それなのに年収はボーナス込みで180万円未満、ノルマ品を自爆営業させられる始末だった。

身体を壊した男性は、医師に「このまま過労死まで働くのか、会社を辞めるのか」の2つに一つと言われ、退職を決意。しかし、辞めると決めてからが一筋縄ではいかなかった。

ノルマを達成しつつ2年目に入った男性は、本部からは“精鋭”、店舗側からは“頼りになる存在”として扱われるようになっていたからだ。(文:福岡ちはや)

「身体を最後の1か月で本当に壊された」

引き止められはしたものの、身体は限界に達していた男性。

「『私の気力や体力はすでにガス欠状態で、身体が悲鳴を上げてるわけで、過労死はしたくないから辞めさせてください』って言って、初めて渋々店舗も本部も話をのんでくれました」

ただ、最後の月である3月は「地獄のように働きました」と振り返る。

「過労死するかもしれないって、店長も店舗仲間も知っているんです。少しはセーブさせてくれるのかと思っていたら逆なんですね。(中略)身体を最後の1か月で本当に壊された。最悪のラスト1か月となりました」

おまけに「旅行積立金なども月に4000円ほど引かれてましたが、私が辞めた月でも旅行積立金は戻って来ることはなかったです。そもそも旅行はなかった」というから散々だ。ブラック企業で無理をした代償は大きく、精神を病んでしまった男性は、

「もちろん結婚もできなければ彼女もいません」

とこぼす。

「メンタルと身体は壊して当たり前の時代でした」

男性は当時を振り返り、「就職氷河期世代って本当に地獄の世代だったと痛感してます」と総括する。そもそも就職活動から圧迫面接で、「会社を乗っ取るのか?」といった暴言も飛んできたという。

「とにかく今のパワハラをパワーアップした返答しかなく。集団面接でも、(面接官の質問に)回答をして、パワハラで途中泣いてる学生もかなりいました。なお泣いた時点で不採用は確定していました」

「早稲田、慶応、有名私立、国立を出ても、周りもそうでしたが正社員になれたのはわずか一握り。その一握りの人間も、メンタルと身体は壊して当たり前の時代でしたから」

「本当にあの時代は誰がいつすべてにおいて追い込まれて自殺してもおかしくない、異常な状況だったと思います」

時代は変わり、最近ではホワイト企業が増えているように思える。その後別の職場で発せられた「本当にホワイト企業でよかった!」という新入社員の言葉に、男性は「そうですね」と答えたそうだ。だが胸中は複雑だったようで、

「『団塊の世代が定年(退職)になり、一時的に好景気になってるように見えるだけ』とは(その新入社員には)伝えられなかったですね」

と心情を綴った。

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