100時間残業ができない時代に若手はどう成長すればいいのか | キャリコネニュース
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

100時間残業ができない時代に若手はどう成長すればいいのか

画像はイメージ

画像はイメージ

かつては長時間労働が当たり前だったコンサル業界も、働き方改革で大分残業が減りました。深夜までオフィスに残って気合いで資料を仕上げる、なんてシーンも減り、ワークライフバランスの観点からすると昔より大分働きやすくなりました。(文:外資系うさぎのちょこさん)

ただ、若手の成長という観点からすると少し複雑です。現在のベテランコンサルタントたちは若手時代に大量の時間を投下することで徹底的にバリューを追求し、その過程で急速に実力をつけてきました。

そこで、「ベテランコンサルと同じ速度での成長を、今の若手はどうやって実現していくか」という問題が出てきます。

SNS上でも定期的に盛り上がるトピックで、

「生産性が低いから残業しているのでは?」
「今の時代は最新のテクノロジーがあるんだから時間を投下するしかなかった世代とはやり方が違う」
「仕事の質も大事だが量も大事だ」

など常に賛否両論、様々な意見が飛び交っています。

ちょこさんもそのようなトピックにはちゃっかり乗ってみたりしています。実際にどのようなリプライ、引用が来ているか見てみてください。https://twitter.com/ChoConejito/status/1687730404739178496

残業時代の終焉と新しい働き方

働き方改革、コロナ禍のリモートワークを経て、今はコンサルファームもクライアントもオフィス回帰を進めています。といっても、昔のような週5日のフルタイム出社ではなく、必要に応じて出社とリモートワークを切り替えていく、というスタイルが主流になりつつあります。

ここ2~3年で入社したコンサルタントは、入社からずっとリモートワークしかしてない人も多いです。若手たちからは「出社して上司から直接フィードバックを受け、わからないところをすぐに相談できる働き方の方が成長できると感じている」といった声が出ることが多いように思います。

そんな若手に「コロナ前は週5日、自社やクライアント先に出社し、常にチームメンバー全員が近い距離でディスカッションしながら、ときに夜遅くまで働いていた」ということを話すと驚かれることもあります。

しかし、働き方改革で残業時間が適正化し、コロナ禍でリモートワークが取り入れられるようになっても、クライアントから求められる仕事の水準に変わりはありません。若手コンサルタントは現代の労働環境に適合しながらも、高いフィーに見合ったバリューを出せるよう、速いスピードで成長していくことが変わらず求められています。

実際のところ、100時間残業で得られたものって何?

では、なぜ長時間残業に関わるトピックが定期的にSNSで盛り上がるのか、長時間残業で得られるものは本当にあるのか、ということについても掘り下げいきましょう。

コンサルティングは答えのないところに答えを作りにいく仕事であり、かけた時間と出した成果は比例しません。

仮説を立てそれを検証しクライアントとディスカッションし、そこから新たな仮説を得て更に検証し…というサイクルが本当に無限ループかというくらい繰り返します。生産性が低いから仕事が終わらず残業が増えるというものではなく、常に頭をフル回転させ仮説を研ぎ澄ませていった結果、持てる時間の限りを投下するに至った、という方が適切です。

マネージャとして、プロジェクトの最前線で仮説検証のサイクルを徹底的に繰り返し、ときには炎上プロジェクトの応援にも入り、更には自分で手も動かしパワーポイントの報告書を作成する…といった経験を一定以上積むと、コンサルタントとしてのスキルが完成し、得られた知識や経験から、最初に打ち出す仮説の精度も自然と上がっていきます。

これが、100時間残業で得られる経験の正体です。必ずしも長時間残業を肯定するものでも、無駄な残業はひとつもないと言いたいわけでもないのですが、働き方改革前から結果を出し続けてきたコンサルタント(シニアマネージャー、ディレクター以上の層)は、漏れなくそのような経験と、それに裏付けされたスキルを持っています。

これからの時代の若手コンサルタントは、100時間残業といった時間的なコミットができない環境でそのようなスキルを身につけていかなければならない、というとても難しい課題に直面しています。

最新テクノロジーだけを頼りにせず、成長のための創意工夫を

では、生産性や成長速度を上げるためにできることは何か、ということについても考えてみます。

実はここにひとつ、大きな誤解があります。

「今の時代は最新のテクノロジーがあるんだから、時間を投下するしかなかった前の世代とは仕事の進め方そのものが違う」

というものです。さすがに30年前のコンサルタントと比べたら今の環境は全然違うものになっていますが、今回のテーマで取り上げているような働き方の変遷は、ここ5~10年で起きていることです。

10年前の仕事のやり方が全然通用しないなんてことはなく、今のベテランも我先にと率先してChatGPTを始めとした最新のテクノロジーを取り入れた働き方を模索しています。
生成系AIは今アツいコンサルティングのテーマのひとつでもあり、当然ながらそのようなツールを自分たちも習熟しておく必要がありますからね。

つまり、「古臭い働き方で生産性の低いベテラン VS 最新のテクノロジーを駆使する生産性の高い若手」といった、ついついイメージしがちな図式はそもそも成立しないことになります。

その中で若手がやるべきことは明確です。若手の仕事の中には、作業要素の強いファクト収集やデータ集計、スライド作成などが多分に含まれます。タスクを分解して単純作業とみなせるものはChatGPTなどにより徹底的に自動化し、手よりも頭を動かすことに限られた時間を投下するのです。

そこで、自社オフィスやクライアント先にいる時間は、頭を使ったディスカッションや上司、先輩からレビューを受けて仮説をブラッシュアップする時間とします。一方でリモート作業の日は様々なツールを駆使し黙々と高速で自分の作業を進めます。こうしたメリハリのある働き方に必然となっていくはずです。

さらに、コンサルファームには、過去の成果物が閲覧できる仕組みがあるので、社内に蓄積された知見をフル活用することも大事です。

そのような仕事の仕方をしていけばすぐにベテランコンサルタントに追いつける、というものでもないのですが、限られた時間を使って成果物の品質を最大限に高めていくためには、徹底した効率化と社内ナレッジの総動員が不可欠です。

そして、空いた時間で本を読んだり、プライベートでも文章を書いてアウトプットしたりと、仕事以外の面からのスキルアップを測っていくことも必要です。

これまでの時代はとにかくオフィスで濃密な時間を過ごし成長する、これからの時代は働き方にメリハリをつけその場その場で最適な動き方ができるよう創意工夫を続けて成長していく、ということになります。

なんだかやらないといけないことが多いと感じてしまうかもしれませんが、今まさに価値観が大きく変わろうとしている業界なので、現役世代である我々は試行錯誤の日々を過ごすことになります。

そういった変化の激しい世界を楽しんでやろう、くらいのスタンスで目の前のタスクを片付けていきたいものですね!

ではまた次回!

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

アーカイブ