その当時は、勤務先の事業部が閉鎖されることになり、会社都合で退職して4か月ほど経った頃のことだった。男性は前述の通り英語が堪能で、本来は「海外営業職」を希望していた。しかし
「これまでの経験を活かせる希望職種の求人自体が少なく、焦りが出始めていました。間口を広くして多職種にも応募したところ、その企業の面接までこぎつけたんです。人工樹脂を使用した製品を作るメーカーで、海外の資材を購入するための購買担当の仕事に応募しました」
振り返れば、その焦りや職種を広げたことがアダとなったのかもしれない。「仕事で英語を使う機会もある」ということで、英語の試験も受けることになった。相手は「社内で一番の英語の使い手」と言われた60代前半の男性社員だった。
「英語の記事を音読するように指示されたので、それに従って読み上げ始めました。しかしその面接官は途中途中で遮って、私の発音に対して『違いま~~~す』『ちが~~~う』等と小馬鹿にするように言ってきました」
「その中に mandatory という単語があり、私が『マンダァトォリィ』と発音したところ、『ノォ~~~。マンデイトオリィ』と首を上向きに大きく回しながら、ドヤ顔で言ってきました」
確かにこれはウザったい。自分に絶対の自信があるとしても、そこまで人を愚弄する必要などないだろう。当時の心境を聞くと
「mandatory の発音は面接官の方がおかしいのは明らかだったので、英語レベルは低いと感じました。ただ、私は英語のネイティブスピーカーではないので、英語レベルの低さ自体はそれほど気になりませんでした。それ以前に、得意満面の笑顔で人を小馬鹿にした態度にはあきれ返りましたね」
他にも「いかに自分たちの会社が優れているか、優秀な人材の宝庫であるかをのたまって」いたそうだ。
「この会社では 年収440万円、その次の会社では 750万円でした」
しかも面接官たちはチェーンスモーカーが多く、
「面接中にも関わらずタバコをふかし続けていました。目に煙がしみてきて、目を開けているのが辛かったほどです」
と振り返る。いくら喫煙者だと言っても、このご時世で面接の場でも吸い続けるのは普通ではない。
そんな状況の中、専務と英語の面接官は、終始人を馬鹿にして見下すようなコメントを続けていたそうだ。しかし、なぜか結果は合格だった。
「とりあえず希望職種が見つかるまでの腰掛けのつもりで入社しましたが、今思い出しても不愉快な気持ちになる面接でした」
「当時の私は無職の期間が4ヶ月も続いたことで『とにかく仕事を見つけないといけない』と焦っていたことから、反論もせず黙って罵倒されていました。そのことで上から目線で威張りたがりの人たちは優越感を満たすことができ、気分を良くしたのだと思います」
と男性は推測する。黙って従うタイプの人間だと思われたのだろうか。
「それに地方の企業だったので、私の経歴のような応募者は他にいなかったのだと思います。そのため海外とのやり取りに向いているとみなされ、採用に至ったと考えました」
結局、その企業にとって男性の実務経験と英語力は貴重だったのか。しかし、そんなマウント気質の幹部がいる会社では、入社してからも不愉快なことが多かった。
「中途採用の新入りなので、20代の社員も上から目線で接してきました。とにかくマウントを取りたがる社員が多かったです」
拘束時間も長く、始業前や土曜日の会議のほか週末ごとにイベントが多いのも嫌だった。辟易した男性は一年半後、無事に希望職種へ転職できたという。
直接の上司である課長に退職の意思を伝えた時には、「馬鹿にしたようにヘラヘラと笑いながら応対されました」と最後まで人を小馬鹿にし続けた会社だった。ちなみに年収に関しては、
「前職では700万円でしたが、この会社では 440万円でした。しかしその次の会社では 750万円になりました」
と転職で起死回生が叶ったことを明かしてくれた。
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