大学時代に経験した海外ホームステイをきっかけに、人生の歯車が大きく狂い出す。
「今から思えば青すぎますが、今までがんばってきたのだから、世界をつなぐような仕事をしたいと願うようになり、航空や旅行、商社など難関企業ばかり40社以上全滅。筆記、書類は必ず通り、面接のいいところで落ちるので、すさましいダメージでした」
就職浪人を経てようやく潜り込んだのはブラックな学習塾業界で、4年ほど耐えたという。その後、「今度はとにかく安定した会社を」と、大手メーカーのグループ会社に転職したものの、そこは想像を超える別世界だった。
「しばらくは平和でしたが、そこは正直、地元のヤンキーが自己犠牲で年収1000万円を目指すような世界で、実家の支援や妻のワンオペ育児がデフォルトのため、子供が生まれてから、次第に追い詰められました」
さらに父親の死や母親からの過大な要求が重なり、ワンオペ状態の妻ともども男性自身も体調を崩してしまう。
「ちなみに私は一人っ子、妻の方の実家の支援はほぼなしです」
そんな絶体絶命の状況から這い上がるきっかけをくれたのは、妻の存在だった。「妻に勧められ、公務員の経験者採用に合格し、やっとまともな仕事につけました」と明かす男性は、現在は県職員として海外との交流などを担当している。
「苦労しましたが、勉強だけはできるという能力がここで助けてくれたと思っています」
結果的にかつての努力が報われる形となった男性だが、同じ世代を見渡してこう危機感を募らせている。
「自分は奇跡的になんとかなりましたが、やはりこの世代は、就職の難しさから、会社にしがみつくしかなく、いいように利用され、潰される人が多いように思います」
どれほど優秀なスペックを持っていても、時代の波と環境のミスマッチだけでいいように使い潰されてしまうのが、この世代の厳しさなのだろう。
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