日本の労働環境に根付くさまざまな問題。ブラック企業の蔓延はその最たるものだが、別にブラックでなくても「ちょっとそれおかしくない?」と言いたくなるルールに縛られた職場は多い。
素手でトイレ掃除をする会社。意味のない朝礼で気合を入れる会社。休日なのに、当たり前のように仕事のメールが届く会社……。
中でも、多くの方々が「おかしいよな」と思いつつも、逆らえない風潮に”残業”があるのではないだろうか。(文:松本ミゾレ)
「こいつら仕事全然してないのに、残業代もらって昇給する」
先日、おーぷん2ちゃんねるに痛烈な愚痴が書き込まれていた。スレッド名は「一年間残業せずに帰ったら評価下がった」。スレ主はタイトルの通り、残業を一年間せずにいたところ、評価を下げられたそうだ。
理由について彼は「ダラダラ残業してるやつは頑張ってるように見えるんだとよ」と書き込んでいる。上司にそういう言葉を投げつけられた、というところだろう。
その上で「何が働き方改革だ、暗に残業を推奨してる」とご立腹。さらにはこんな愚痴まで発している。
「そもそも残業しまくりの連中は、日中タバコ吸ったりおしゃべりしてたりでこなしてる仕事量も俺の半分程度。しかも残業込みでも仕事終わらなくて俺が手伝ってる。何がムカつくってこいつら仕事全然してないのに残業代貰ってて昇給も多くする意味不明すぎる」
そうとう頭にきているようだ。そりゃあそうだ。他人の尻拭いをさせられているのに、評価が下がるんだから。
しかも、残業をしない理由に「育児のため」とも言及している。会社の業務に配慮して育休を取得することもしていない。その配慮すら会社側には通じていないからこそ、評価が下がったと感じているようで、2人目が生まれたら育休をしっかり取得すると考えているそうだ。
「とにかく目の前でがむしゃらに頑張ってる人」しか評価されない?
怒り心頭の様子のスレ主だが、そもそも残業の必要がないから残業をしていないわけなのに、それで評価を下げられりゃあ、誰でもそうなるってもんだ。
とにかく日本の職場って、いまだに人が努力している姿勢を見ては、感動する上層部のおじさんたちが蔓延している。そして、このおじさんたちは、努力の方向性までには目を向けない。とにかく目の前でがむしゃらに頑張ってる姿勢しか見てないことばかりだ。
そういう連中にとっては、自分のすべきことを時間内に終わらせて退社する人って、なんとなく鼻につくんだろう。真面目に仕事をしている人はどちらなのかということを、冷静に考えることができていないのだ。
そもそも職場では、仕事をするにあたって能力が足りてない人が努力をすることは当たり前だ。そんな人が残業するのもやむなしだろう。
だけど、なんで私たちの社会では、そんなできてない人々の歩調に合わせる必要があるんだろうか。前者は助かるだろうが、後者にはロスしか発生しない。
人情や労わり、協調性は大事だけども、だったらまずは仕事が遅い人間が「みんなに迷惑をかけられない」と奮起するのが先だ。残業するには理由があるという根本的な概念を「残業することは当たり前だよ」と思い込んでいる人々は理解する力をなくしている。