「仕事を部下に任せたいけれど、​業績のプレッシャーが……​」と悩む管理職​​に必要なAND思考​ | キャリコネニュース
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「仕事を部下に任せたいけれど、​業績のプレッシャーが……​」と悩む管理職​​に必要なAND思考​

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私が担当する管理職研修で、次のような質問をすることがあります。管理職として、以下の行動のどちらが望ましいでしょうか?

(1)仕事を部下に任せないで、管理職自身が仕事を巻き取った結果、組織目標を達成した。

(2)仕事を部下に任せて、部下育成に注力した結果、組織目標は未達成だった。

すると参加者の皆さんは、

「(2)がいいのだろうけど(1)をやっているな……」

「なるべく(2)をやりたいけど、業績のプレッシャーが強いからな……」

と答えます。業績のプレッシャーと部下育成の狭間で、苦悩する管理職の姿がそこにはあります。

皆さんでしたら、どのように答えますか?今回は(1)と(2)のどちらの思考と行動を選ぶべきなのかについて、話を進めてまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

目標達成している管理職ほど、マネジメントに注力している

ラーニングエージェンシー(東京都千代田区)が管理職1715人に、2021年8月3日~2021年10月11日に実施した「管理職意識調査」によると、見えてきたものとして、次の5つを挙げています。

(1)目標達成している管理職ほどプレーヤー業務より「マネジメント業務」に重心がある

(2)部門目標や部門計画を「毎年達成している管理職」の約7割が「部下の成長」を実感

(3)管理職と部下の「対話時間」が多いほど「部下の成長度」も高い傾向

(4)管理職の5〜6割が「部下の育成」に悩み、必要なのは「リーダーシップ」「人材マネジメント」スキル

(5)「自己研鑽」に時間を費やす管理職ほど目標達成度が高い

(1)と(2)に注目して欲しいのですが、目標を達成し続けている管理職は、プレイヤーとしての仕事よりも、部下に仕事を任せて成長を支援するマネジメントに注力していることが分かります。部下の成長支援を通して組織成果を達成し続けているのです。この結果からすると冒頭の質問に対しては、仕事を部下に任せて、育成支援を行いながら、組織目標をも達成していく思考と行動が求められそうです。

「部下への関心度」を高めていくことが必要

管理職には冒頭の質問の(1)と(2)の行動をどちらかを選ぶ「OR」の思考ではなく、どちらも達成していく「AND」の思考と行動が求められます。仕事の進捗管理や戦術の改善といった「仕事の側面」と、部下との信頼関係を醸成しながら部下育成をしていく「人の側面」の両方が求められるわけです。人の側面にも関わりながら、組織成果を達成していくマネジメントを身につけていかなければなりません。

同様のことは、1960年代にアメリカのブレイク教授とムートン教授によって提唱されたリーダーシップ論「マネジリアル・グリッド理論」でも言われています。リーダーの行動スタイルを「業績への関心度」と「人への関心度」の2つの軸で捉え、5つのリーダータイプに分類したなかで、業績と人の両方への関心度が高い「9・9型」のリーダーが理想型とされています。リーダーには、課題解決や戦略と戦術を駆使しながら業績を達成していく思考と行動に加えて、部下との人間関係を重視しながら、育成をしていく思考と行動が求められることがお分かりいただけたでしょうか。

ところが、冒頭の管理職研修の受講生の回答から、多くの管理職が「業績への関心度」が高く「部下への関心度」が低い傾向が窺えます。人的資本経営が注目されるなかでは「部下への関心度」を高めていく必要があります。部下への関心度を高めるためには「管理職意識調査」の調査結果の(3)にある「部下との対話」が大切になっていきます。対話のなかで、部下の入社動機や成功体験といったこれまでのストーリーを聞いていき、部下への関心を高めていく必要があるのです。

プレイングマネジャーとしてのプレイヤー業務を部下に任せてマネジメントに専念し、部下との対話の時間を多く取ることによって、部下の成長を支援していく。そして、その成長が組織成果に繋がるので、さらにマネジメントに注力できるといった好循環を作っていくのです。

以上、管理職に求められる「AND」の思考と行動について、話を進めてまいりました。忙しい管理職ほど、部下育成に力を入れてみてはいかがでしょうか。そこに管理職としての醍醐味もあります。

 

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