「名選手は名監督にあらず」は本当? 優秀なプレイヤーが管理職になったときにぶつかる壁
優秀なプレイヤーには、2つのタイプがあります。1つ目のタイプは、元巨人軍監督の長嶋さんのように天才的な感覚を持ち、描いたイメージを簡単にできてしまうタイプです。もちろん本人の並外れた努力が影には隠されていますが、その努力がうまく機能し、どんどん成長していきます。
2つ目のタイプは、努力がうまく機能せず、失敗を繰り返しながら描いたイメージに向かって進んできたタイプです。周りにダメ出しをもらいながらも、不屈の精神で自身の成長を促してきています。
管理職に昇進を果たした方にもこの2つのタイプがあり、マネジメントに悩む方の多くが1つ目のタイプのように感じます。「プラトー状態」と言われる成長期の足踏み期間が短く、右肩上がりに成長してきたため、できない部下の思いを理解することができないからです。
失敗ばかり繰り返す部下やなかなか成長してくれない部下に対し「なぜできないのか?」といった疑問が先行し、できない部分ばかりに目がいくことによって叱責が多くなります。
仕事で人の成長を促すためには、心理学的には「承認:叱責」の比は「として3:1」がベストだと言われます。3回承認をされている中での1回の叱責が、部下の成長を促していきます。優秀なプレイヤーであった管理職は、承認の部分を見つけにくい傾向にあることが多く、マネジメントに苦慮していきます。
どうすればいい?「5つの壁」と克服法
その上で、優秀なプレイヤーが管理職になったときにぶつかる「5つの壁」と乗り換え方について解説していきます。
(1)部下を人として見られなくなる壁
優秀なプレイヤーは業績への関心が強く、部下の人となりへの関心が弱い傾向があります。部下の思いや悩みを理解することができず、手駒として飴と鞭のマネジメントをしてしまいがちです。
飴と鞭のマネジメントは部下の多様性が広がる現在においては機能しにくく、部下のモチベーションを低下させてしまいます。そんな状態に陥りがちな方は、部下の幼少期からの成長ストーリーを傾聴し、部下の人間性への関心を高めていきましょう。
(2)仕事を任せられない壁
優秀な管理職ほど、仕事が早くて正確でしっかり成果を出してきています。そのため、「自分でやった方が早いし正確」といった思いが先行し、部下に仕事を任せられなくなっていきます。
仕事を任せられないと部下の成長は鈍化し、管理職自身が忙しいといった状況に陥ってしまいます。自分がやるべき仕事と、部下に任せていく仕事を意識的に整理し、部下に任せる仕事を増やしていきましょう。
(3)評価が部下の成長につながらない壁
優秀なプレイヤーであった頃の自分と部下を比べてしまうため、どうしても評価が厳しくなりがちです。「これくらいできて当たり前」といった思いが全面に出るために、多様な部下に対してダメ出しをすることが多く、部下のモチベーションを低下させてしまいます。
部下の成果のみならず仕事のプロセスの中で、できるようになった部分をメモして伝えていく習慣を身につけていくことがお勧めです。
(4)自身の達成感減少の壁
これまでは自身が行った仕事の分だけ成果を感じることができましたが、管理職になると自分が直接出した成果ではなく、チームメンバー全員の仕事の総和が成果になっていくので、もどかしさを感じます。
本来はプレイヤーであった頃と比べると大きな成果を感じることができるはずですが、部下を通しての成果であるため時間がかかり、達成感が減ったと感じる方もいます。そんな方は、自身の満足感のポイントを、マネジメントやリーダーシップ発揮での成長部分に焦点を合わせるようにしていきましょう。
(5)コミュニケーションの壁
プレイヤー時代は、上司の指示を理解して素早く動く力を発揮していたため、管理職になっても慣れている指示型のコミュニケーションが多くなり、部下の主体性を引き出すコミュニケーションがわからない、という人もいます。
現代の会社組織では、対話を通して部下を理解し内発的動機を促すことが求められます。そこで、アドバイスメインの「ティーチング力」よりも、「傾聴力」や「コーチング力」を獲得してまいりましょう。「あなたはどうしたいの?」と、部下に聞いてみることがおすすめです。
以上今回は、優秀なプレイヤーが管理職になったときにぶつかる壁とその乗り越え方に関して紹介してまいりました。5つの壁に心当たりのある方は記事を参考にしていただき、管理職としての成長と喜びを感じられる状況を醸成していってください。5つの壁に関して、管理職自身がフィードバックをもらえるコーチを持つのもおすすめです。
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