りそなグループのDX:リテールNo.1に向け「デジタル&データ」「デザイン思考」「オープン」で異業種とコラボ | NEXT DX LEADER

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りそなグループのDX:リテールNo.1に向け「デジタル&データ」「デザイン思考」「オープン」で異業種とコラボ

【りそなグループCM】「新しい口座はアプリの使いやすさで選ぼう。」篇(15秒) より

りそなグループは2002年、大和銀ホールディングスとあさひ銀行の経営統合で誕生した金融グループです。現在は、りそな銀行と埼玉りそな銀行、および関西みらい銀行とみなと銀行で構成する関西みらいフィナンシャルグループを、りそなホールディングスの傘下に置いています。

2023年3月期の当期純利益は1,604億円。セグメントは「個人部門」「法人部門」「市場部門」、そして「関西みらいFG」の4つで、個人顧客1,600万人、法人顧客50万社を擁し、総資産は約74.8兆円で3メガバンクに次ぐ規模です。(NEXT DX LEADER編集部)

「りそなショック」から20年の節目に長期ビジョン策定

りそな銀行は発足直後の2003年、政府による総額2兆円近い公的資金の注入を受け、実質国有化の状態となりました(公的資金は2015年に完済)。

この「りそなショック」から20年の節目となる2023年5月、パーパス「金融+で、未来をプラスに。」長期ビジョン「リテールNo.1~お客さま・地域社会にもっとも支持され、ともに未来へ歩み続けるソリューショングループ~」を制定しました。

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

あわせて、長期ビジョン実現への加速に向けて「CX(コーポレート・トランスフォーメーション)に取り組む最初の1,000日」と位置づけた、新しい「中期経営計画(2023~2025年度)」をスタートしています。

中計では、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)DX(デジタル・トランスフォーメーション)の潮流などを見据えた「変化への適応」「収益・コスト構造改革のさらなる加速」を図るとしています。

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

DXに関しては「キャッシュレス・DX」の取り組みとして、データ利活用の高度化とグループ内外連携の深化を図り、企業の商流・個人の家計に向けた利便性を提供することで、決済関連の収益を725億円から765億円(中計期間中+5%)に増やすことを目指します。

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

「中期経営計画(2023~2025年度)~「リテールNo.1」実現への加速~」(2023年5月12日)より

アプリ中心に「デジタルバンキング戦略」を推進

DXの取り組み方針については、すでに前の中期経営計画(2020~2022年度)で強く打ち出されています。「デジタル&データ」「デザイン思考」「オープン」の3つのドライバーを通じたビジネスモデル・経営基盤の次世代化という積極的な方針を掲げており、現在成果が出ている取り組みは基本的にこの考え方に基づいたものといえるでしょう。

「中期経営計画(2020~2022年度)~レゾナンス・モデルの確立~」(2020年5月12日)より

「中期経営計画(2020~2022年度)~レゾナンス・モデルの確立~」(2020年5月12日)より

ここでは、変化への適合に向けた1丁目1番地として「デジタル&データ」を位置づけつつ、脱銀行目線とユーザー視点による「デザイン思考」、異業種や外部人材との共創を図る「オープン」という、りそなグループのDXを成功させるための要素をあげています。

前中期経営計画には、リアルとネットを融合した複数販売チャネルを活用する「オムニ戦略の進化(オムニチャネル・決済)」「オープン・イノベーション」、次世代のリテールサービスに向けた「デジタル&データ」といったキーワードが掲げられています。

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

背景には、アナログな接点しか持てなかったことにより、これまで「有効な接点」を持てなかったお客さまや、汲み取ることができなかった「ニーズ」、リーチすることができなかった「収益機会」がある、といった課題認識があります。

そこで、バンキングアプリを中核チャネルとして、「デジタルチャネルの整備」による非対面接点の拡充(Web・スマホ完結、リモートチャネルのセールス拠点化)、「お客さま層の拡大」(会える個人のお客さま100万人を1600万人+αに拡大)、「マーケティングの高度化」(全チャネルを通じて得られた情報を集約し自動提案)を3つの重点テーマとしています。

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

グループアプリは新しいチャネルとして確実に成長し、2018年2月のリリースから2年半強の2022年11月までに600万ダウンロードを達成。コロナ禍もありATMの利用や来店の数が減少傾向にある中で、利用者が増加しています。

特に20代、30代の利用者が多く、新たなお客さま層との接点確保に貢献。継続利用率は月間約80%、平均アクセス回数も15回以上(2020年6月)と、接点の継続的な確保もできている状況です。

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

新しい取引に占めるアプリの割合も増加しており、積立定期預金の口座開設は2018年3月の15%から2020年8月には78%まで増加。外貨預金の口座開設は同47%から89%まで増加しています。

トランスコスモスなどと協働拠点を開設

また、りそなグループは、バンキングアプリに加えて、りそな銀行のホームページ(企業サイト)を従来の掲示板的役割から「戦略チャネル」へ変革する取り組みも行っています。

成果があがったのは「問い合わせ数の削減」。利用者データを分析し、数百あるFAQの中から問い合わせにつながっている企業サイトの内容を整理しなおして改修したところ、コンタクトセンターへの問い合わせが大幅に減少したということです。

コンタクトセンターではこのほか「電話中心」の対応から「アプリ中心」に転換し、企業サイトやBot、Chatといった機能を組み合わせる「デジタル×電話」への変更も進めています。

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

「りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」(2021年3月17日)より

また、お客さま一人ひとりに合わせた接客をするために、CXプラットフォーム「KARTE」を導入したり、ウェブサイトへの流入施策としてウェブ広告やチラシ、アプリやEmail配信、コンテンツマーケティングをはじめとするSEO施策を実施したりしています。

このような考え方のもと、2019年にトランスコスモス社と協働拠点「コラスタ」を開設し、担当人材が共に働きながらWEBサイト改善を進めました。

2020年10月にはさらにこれを発展させ、オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」を東京・木場に開設。自社の新規事業やスマートフォンアプリ開発部隊に加え、日本IBMやトランスコスモスなどの協力会社の社員と同じ空間で働きながら、銀行の枠組みを超えた新たな価値共創に取り組んでいます。

オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」の開設について(2020年9月28日)より

オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」の開設について(2020年9月28日)より

日本IBMとの合弁会社を「りそなデジタル・アイ」へ改称

りそなグループでは、従来の枠組みにとらわれない外部との幅広い共創を行うための、デジタルバンキング基盤「金融デジタルプラットフォーム」の構築に取り組んでいます。

これは、りそなグループがサービス設計(CXデザイン)した「決済連携」「資産運用」「データビジネス」「本人認証」「サービス連携」などの機能を、りそなグループ各社での活用にとどまらず、地域金融機関や地方自治体、一般の事業法人にもAPIを通じて提供するというものです。

「中期経営計画(2020~2022年度)~レゾナンス・モデルの確立~」(2020年5月12日)より

「中期経営計画(2020~2022年度)~レゾナンス・モデルの確立~」(2020年5月12日)より

地方銀行各社への提案は、りそなHDとNTTデータ、日本IBMによる合弁会社「FinBASE」を中心に行い、すでに、めぶきFGや横浜銀行、百十四銀行や七十七銀行など、資本関係のない地域金融機関へのサービス提供を行っています。

提供メニューも、「店頭タブレット」「法人アプリ」といった新たな取引チャネルに加え、iDeco積立やデータ分析など「金融および非金融領域の新サービス」へも提供メニューを拡充していくとのことです。

りそなHDは、日本IBMとの合弁会社「ディアンドアイ」を設立し、デジタル変革推進を進めていましたが、2021年1月に出資比率を15%から49%に引き上げ、社名を「りそなデジタル・アイ」へ改称しています。

りそなホールディングスの「りそなデジタル・アイ株式会社」への出資比率引き上げ完了について(2021年1月4日)より

りそなホールディングスの「りそなデジタル・アイ株式会社」への出資比率引き上げ完了について(2021年1月4日)より

りそなデジタル・アイをDX戦略的パートナーとすることで、りそなHDは異業種を含めた幅広い連携を加速させるとのこと。また、日本IBMからのDX人材を受け入れたり、りそなHDの従業員をDX要員教育プログラムに参加させるなど、りそなデジタル・アイをDX人材育成・強化の場にするねらいがあるようです。


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YouTube:【りそなグループCM】「新しい口座はアプリの使いやすさで選ぼう。」篇(15秒)

考察記事執筆:NDX編集部

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