コニカミノルタのDX:画像IoTを強みに「複写機に依存しない事業ポートフォリオ」の構築目指す | NEXT DX LEADER

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コニカミノルタのDX:画像IoTを強みに「複写機に依存しない事業ポートフォリオ」の構築目指す

会社紹介 「 We are KONICA MINOLTA 」 (日本語)/ 企業情報 より

コニカミノルタは2003年、コニカとミノルタの株式交換による経営統合で生まれました。統合前の2社はともに戦前に設立され、戦後の日本のカメラ産業を牽引しましたが、統合後の2006年にはカメラ事業を終了しています。

2023年3月期より、複写機とITサービスを中心とする「デジタルワークプレイス」、デジタル印刷システムを提供する「プロフェッショナルプリント」、画像診断システムなどを提供する「ヘルスケア」、計測機械や機能性フィルムなどを提供する「インダストリー」の4つにセグメントを再編し、事業を展開しています。(NEXT DX LEADER編集部)

中核の複写機の利益率が悪化、3期連続赤字に

コニカミノルタは、以前より戦略的なIT活用に積極的に取り組んでいます。2016年の「攻めのIT経営銘柄」に始まり、2017・2019年の「IT経営注目企業」、2020年の「DX銘柄」を経て、2021年にはコロナ禍を踏まえた対応が評価され「デジタルトランスフォーメーション調査2021」のカスタマーケア部門(いずれも経済産業省)に選定されました。

一方、コニカミノルタの売上高はここ数期、減少傾向にあります。2019年3月期にはリーマンショック後最高の1兆591億円まで回復しましたが、その後は再び1兆円を割り込み、2021年3月期には8633億円まで落ち込みます。

当期純損益は、2020年3月期に30億円の赤字に陥り、2021年3月期には152億円に赤字額が拡大。2022年3月期は売上高が前期比5.6%増の9114億円まで回復したものの、赤字額はさらに261億円まで増えて3期連続赤字となっています。

「統合報告書2022」(2022年9月2日)より

「統合報告書2022」(2022年9月2日)より

この要因としては、米中貿易摩擦やコロナ禍、2021年に発生した子会社工場の爆発など一時的なものが小さくないものの、半導体不足や原料高のほか、オフィス出社率の低下やプリントレスの加速といった市場顧客の構造的変化にも直面しています。

2023年3月期第3四半期の売上高構成比(除くコーポレート)は、デジタルワークプレイス事業が53.3%と過半数を占めており、次いでプロフェッショナルプリント事業が22.6%、インダストリー事業が12.3%、ヘルスケア事業が11.8%でした。

しかし同営業利益では、インダストリー事業が141億円と最も大きく、次いでプロフェッショナルプリント事業が112億円。中核であるはずのデジタルワークプレイス事業は15億円で営業利益率が0.3%と非常に低く(前の2期は赤字)、ヘルスケア事業は96億円の赤字となっています。

中期経営計画「DX2022」で事業構造転換を図る

コニカミノルタは2020年11月27日に、「長期ビジョン(2030年)、中期経営戦略(20-22年度)」を発表しています。

長期ビジョン内の「コニカミノルタ流の価値創造プロセス」では、「社会課題と向き合い、DXにより無形資産と事業の競争力を強化し、持続的な価値提供で企業価値を高める」としており、DXが鍵となる位置を占めています。

「長期ビジョン(2030年)、中期経営戦略(20-22年度)」(2020年11月27日)より

「長期ビジョン(2030年)、中期経営戦略(20-22年度)」(2020年11月27日)より

中期経営戦略はサブタイトルに「DX2022」を掲げ、「DXにより高収益ビジネスへと飛躍」するとしています。そして、長年続いた複写機中心のオフィス事業に依存しない事業ポートフォリオの実現に向けて、以下の2つの転換を基本方針としています。

・オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換
・「計測・検査・診断」領域での事業成長

「長期ビジョン(2030年)、中期経営戦略(20-22年度)」(2020年11月27日)より

「長期ビジョン(2030年)、中期経営戦略(20-22年度)」(2020年11月27日)より

特に、計測・検査・診断領域での事業成長については、2020年11月に提供開始した画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」をベースに、「顧客ワークフロー変革を継続的に支援するビジネスへ進化」するとしています。

この技術は、例えばGROOVE Xの次世代型ロボット「LOVOT(らぼっと)」に実装されており、Imaging AIの骨格検出技術を用いて、LOVOTが目線を合わせてしゃがむ人物に近づくしぐさを実現しています。

このような取り組みにより、2019年度には営業利益の約半数を占めていたデジタルワークプレイス事業の割合を2020年代後半に25%に収め、戦略的新規事業の比率を同14%から29%に高めることで、事業ポートフォリオの高収益化を目指しています。

事業ごとの「ビジネスDX」と横串の「オペレーショナルDX」が両輪

コニカミノルタの目指すDXについては、2021年3月の「無形資産・機能戦略のDX」で整理されており、《事業ごとに突き詰める「ビジネスDX」と、事業横串でレベルアップする「オペレーショナルDX」の両輪で価値向上に繋げる》としています。

「無形資産・機能戦略のDX」(2021年3月11日)より

「無形資産・機能戦略のDX」(2021年3月11日)より

ビジネスDXについては、「画像IoT」による継続的なデータ取得・分析を通じて顧客の課題を「みえる化」し継続的なサービスを提供するモデルを、DX による高付加価値サービス「DX as a Service」を主体としたビジネスとして示しています。

オペレーショナルDXについては、これまで培ってきた現場力にデジタルを掛け合わせた「DX」により、組織およびプロセス変革により「顧客関係性強化」「イノベーション加速」「ものづくり力強化」「管理間接効率化」を実現し、業績改善につなげるとしています。

また、これらのDXを支えるインフラとして「基幹システム」「顧客情報管理システム」「データマネジメント基盤」「セキュリティ」を整備するとしています。

これを受けてコニカミノルタのIT部門では、2022年9月に「IT(DX)パフォーマンスレポート2022」の中で、中期経営計画「DX2022」と連動したIT中期計画の推進状況を「社内DXの推進」「DXを支える基盤」に分けてまとめています。

社内DXの推進として取り組まれているのが「データドリブン経営に向けた基幹システムの刷新」「データ一元化対象の拡充とBI・AI活用で経営を高度化」「サービスビジネスの全社共通プラットフォームの構築」「デジタルワークフォースとしてのRPAの活用拡大」の4項目です。

売上の8割を生み出す海外拠点のマネジメントも課題に

基幹システムの刷新については、「これまで別々に運用していた会計システムと物流システムを統合し、データを一元化」し、「従来のオンプレミス型のシステムから、クラウド型のシステムにするほか、マルチデバイスに対応」するとしています。

「IT(DX)パフォーマンスレポート2022」(2022年9月2日)より

「IT(DX)パフォーマンスレポート2022」(2022年9月2日)より

サービスビジネスに対応したシステム構築については、従量課金やサブスクリプションなど、さまざまなビジネスモデルに対応した全社共通のビジネスプラットフォーム「GBI(Global Business Infrastructure)」を構築するとしています。

また、2017年に「RPA(Robotic Process Automation)事務局」を立ち上げ、一部業務の自動化を進めてきましたが、この取り組みを全部門・全世界に広げることで、グループ全体で生産性を向上するとともに、自社ソリューションサービスとして提供するとしています。

DXを支える基盤づくりとして取り組まれているのが「ITセキュリティの強化」「IT人財の強化」「ITマネジメント」の3つです。

IT人財の強化については、事業成長に貢献できる専門スタッフを「ITプロフェッショナル人財」として育成し、複線型人事制度と連動したITスキル認定制度の構築を進めるほか、「IT活用人財(全従業員)の強化(基礎スキル教育)」「IT人財シフト(配置転換、調達・育成)」も進めていくとしています。

ITマネジメントとしては、「グローバルIT部門の体制」「グローバルITオペレーション」の課題があげられています。コニカミノルタグループのIT部門は国内の約300人に対し、海外は約600人と海外の割合が高くなっています。

コニカミノルタの海外売上比率(外部顧客向け。2022年3月期)は80.6%にものぼります。最も高いのが欧州で28.6%、次いで米国の25.3%、中国の10.5%が続きます。これはカメラ時代に開拓した直販体制とブランドの強さが残っている側面もあるようです。

したがってDXの取り組みも、遠隔地のマネジメントの問題のみならず、海外市場の変化や自社の海外拠点におけるDXも視野に入れなくてはならず、共通のルールとして「コニカミノルタグローバルITガバナンスガイドライン」を制定し、「グローバルITマネジメントボード」を年2回開催するといった取り組みをしています。

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考察記事執筆:NDX編集部

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