小さな「PoC(実証実験)」でお茶を濁す大企業のDX | NEXT DX LEADER

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小さな「PoC(実証実験)」でお茶を濁す大企業のDX

DXはなぜ進まないのか? 経営とITの観点からの課題と提言 より

この動画で学べること

  • 日本企業のDXがなぜ進まないかの要因分析と、課題の解決策が分かる。
  • 目先のDXの成果を出すための「PoC」の取り組みの弊害が分かる。

こんな人におすすめ!

  • DX推進を担当しているが、目に見える成果がどうあげるべきか分からない人。
  • 本質的なDXを推進したいと考えているが、何から着手すべきか分からない経営者。
  • リードしているDX案件で曲りなりに成果は出ているが、これでいいのか不安な人。

DXが進まない理由をマトリックスで整理

DXを学びたい男性
この動画ではどんなことが学べるの?
DXに詳しいロボット
NTTデータ テクノロジーカンファレンス 2020において、早稲田大学理工学術院の鷲崎弘宜教授が行った「DXはなぜ進まないのか? 経営とITの観点からの課題と提言」という講演の模様だよ。

講演の中では、2020年時点での「DX推進の実態」として、従業員1,000名超の企業群では8割以上がDXを推進しているが、100名以下の企業群では3割未満となっている、と紹介されている。
DXを学びたい男性
企業規模によるDX格差の問題だね。
DXに詳しいロボット
ただし、DXを推進しているという大企業でも、中身を見ると「業務効率化」が中心で、「新サービスの創出や根本的なビジネス・組織変革」への取り組みは非常に限定的だという。鷲崎教授は「そこで終わってしまっては、DXが目指すところとしては残念」と言っている。

そして、DXが進まない理由について、「経営層」「CIO」「事業部門」「IT部門」「外部関係者と関係」の各層と、「Why目的」「What方法」「How進展」の各レベルとを掛け合わせてマトリックスに、どんな問題や課題があるのかを整理している。

この表については動画の3分45秒くらいを見てほしいんだけど、例えば経営層の問題としては、「Why目的:経営層がビジョンを描けていない。重要性や意図を理解できていない」「What方法:DXの狙いを理解していない。デジタル化が目的化」「How進展:取り組みがPoC(概念実証)どまり。体制不十分」となっている。

「DXやってますよ」のアリバイ作りに使っていいのか

DXを学びたい男性
現場の業務改善を超える取り組みなら、経営層がコミットしなければ動くわけがない。DXの失敗は、経営層の問題に尽きるよ。
DXに詳しいロボット
特に鷲崎教授が言っていた「PoC貧乏」というインパクトのある言葉が印象的だった。経営者がDXの重要性や意図を理解できておらず、CIOにも権限や役割が与えられていないから、DXの取り組みが小規模なPoC(概念実証)どまりになってしまう。

先進的なデジタル技術の概念実証で、小さな検証を行うだけで、「まあそういうものか」で終わってしまい、結局通常のビジネスを繰り返してしまう。大企業の「DXやってますよ」の中には、こういうものが少なくない。
DXを学びたい男性
AIとかIoT、VRとかでよく見るやつか。ほんのわずかな予算でPoCを小さくやって、報告書を出して終わりというのが「PoC貧乏」とは、言いえて妙だね。
DXに詳しいロボット
そんなものが「当社はDXやってます!」のアリバイ作りに使われてしまうと、本格的なDXの取り組みを促すどころか、逆に推進を妨げる形になりかねない。

IT企業もクライアントに頼まれ、DXラボみたいなものを設けて「AIを使うとこんなことができます」「VRを使った取り組み事例にはこんなものがあります」などと紹介しているのをよく見る。でも、あらかじめ会社の戦略がしっかりしていなければ、どの技術をどう活用して本格的な取り組みにつなげるのか判断することもできない。

PoCでお茶を濁すDXを抜け出すために、鷲崎教授は「コロナを目覚まし時計に!」と呼びかけ、「経営層のマインド変革ステップ」を提示している。まずは社内で動画を共有し、「なぜDXは進まないのか?」の問題や課題が自社にも当てはまる共通認識を持ってもらうことが必要かもしれない。

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YouTube:DXはなぜ進まないのか? 経営とITの観点からの課題と提言

考察記事執筆:NDX編集部

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