辞めるほうが悪いの? 「すぐ辞めない新入社員探せ」という新聞記事で議論
昨今、ブラック企業がたびたび話題になり、働く側の意識も向上している。新人が辞めるのは、サービス残業やパワハラなどひどい労働環境に原因がある、と企業を批判する声が大多数だ。
「これ言ってる職場ってだいたいブラックだよね」
「待遇良くすれば辞めませんとも。待遇ったって給料とか福利厚生のことばっかりじゃないぞ」
一方で、会社の側に立つ声も一部あった。「いや、問題のある若い奴が少なくないんだな。これが…」「人間関係を作れずに孤立するやつが多すぎる。仕事以前の問題」と、最近の新人を批判している。
OBOG訪問のバックアップなど、ミスマッチ回避の取り組みを伝えたかったのでは?
しかし、実際の記事を読んでみると、その内容は就活生や新入社員を責めるようなものではなさそうだ。少なくとも、見出しから受け取ったような「企業が一方的に就活生・新入社員を責める」という印象とは異なる。
「人手不足感が高まる中で『入社3年で3割が辞める』というミスマッチを何とかしようと、各社が知恵を絞り始めた」
との書き出しに始まり、社員の約6分の1にあたる1000人がOB・OG訪問に対応できるよう整備した商社や、社員や内定者に仲介役となり、学生を企業に紹介してもらう「リファラル採用」を始めた人材会社など、様々な企業が工夫を始めている様子を伝えている。
ツイッターでも
「記事の趣旨としては『学生との対話が足りない』との問題意識のようにも」
「会社辞める理由は双方にあるはずなのに、この見出しだと新入社員が一方的に悪い印象を与えかねないなぁ」
など、見出しから受ける印象と内容とのかい離を指摘する声がいくつかあった。リツイートで回った画像には見出しだけでなく記事本文も含まれていたが、いちいち拡大して確かめる人は多くなかったのであろう。センセーショナルな見出しが独り歩きしていたようだ。
新入社員の離職率の高さは「企業が悪い」「新入社員が悪い」と、一方を責めて落ち着くような問題ではない。そもそも人が辞めることは問題なのか、という見方もできる。いずれにせよ、企業と学生、双方の試行錯誤が報われ、互いに納得いくような就活になってほしいものだ。