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「初めてパチンコしたけど面白くなかった。1000円だけ使って帰った」 業界は新規ユーザーをどう逃がしたか

パチンコは楽しくない?

パチンコは楽しくない?

パチンコ業界ニュースサイト「グリーンべると」が、今年5月に掲載した記事で「パチンコ・パチスロプレイヤー調査2020」の内容を紹介している。それによると、年に1度以上パチンコを打つ遊技参加者は、2019年は1021万人。前回調査から4.8万人の微増だったという。

この調査結果は新型コロナウィルス感染症によって、全国のホールが自主的に営業を休止する前のこと。次回の調査では遊技人口が減っていることは確実だ。庶民の娯楽としてスタートしたパチンコは今や、庶民から娯楽の選択肢から除外されつつある。(文:松本ミゾレ)

初心者にはわからないことだらけ 娯楽として内輪向けになり過ぎたパチンコ

パチンコ業界は、2000年代の初頭までテレビCMで機種の周知徹底も出来ていたし、サラ金全盛期の頃は大勢のユーザーが血眼になって群がる鉄火場だった。当時はマイクで店員が射幸心を煽るのもOKだったし、店内では良い台を巡って喧嘩が起きることも。そのような時代から、20年もかからないうちに業界は冷え込んでいる。

今では閑古鳥の鳴くなか、マニュアル通りの笑顔を貼り付けた店員が徘徊し、ユーザーも、バカみたいなデザインで、耳と目を悪くする殺人音量・殺人光線の演出を繰り出す台にひたすら耐えている。僕はかろうじて面白かった頃のパチンコを知る世代だけど、今のパチンコの面白さを、パチンコを知らない人たちに布教できる自信はない。

現状、ホールに設置されているパチンコって、既に新規ユーザーの獲得については諦めている節もある。残ったヘビーユーザー相手に、いかに粘らせるか。これを念頭に作ってるんじゃないか? と思われる台は多い(たとえば期待できない演出は意図的に発生頻度を下げられる調整をユーザーが行えるなど)。

新しいお客さんが店に入ったとしても、ゴテゴテした筐体のせいで、遊ぶ際に重要な“目安”となるデータカウンターが隠れてしまうという致命的な台を、果たして打つのか。しかも三店交換方式のせいで店員が景品交換所教えてくれないのは昔のまま。初心者に全然フレンドリーではない。

少ないユーザーからいかに搾り取るかには躍起になるけど、新しいユーザー開拓の方法が分からないのが現状のパチンコ業界と見える。

たまに無料パチンコ教室だなんて言って、無料でパチンコをさせる企画を打つホールもあるけど、あんなのでわざわざ若い新規ユーザーが集まるはずがない。そんなものに参加しなくても、娯楽は今の時代、いくつもあるわけだし。訴求力がないのだ。

パチンコ初心者「もしかして10万入れないと楽しくないのか」

実際、今のパチンコを未経験者が遊ぶとどうなるのか。5ちゃんねるに立った「人生初めてパチンコやってきたんだが何が楽しいのかさっぱり分からん」というスレッドがいいサンプルケースだ。

スレ主は先日、人生で初めてパチンコを実戦してきたという。その結果「みんなやってるから面白いとばかり思ってたが拍子抜けだった」と切り捨てている。さらに「1000円だけ使って帰ったんだが、もしかして10万入れないと楽しくないのか」とも。

ちなみに、スレ主が打ったのは実はパチスロ。パチンコとパチスロは初心者からすれば同じものということであろう。そうそう、最初は区別もつかなかったなぁ。

しかし、1000円で止めたということは、それ以上遊ぶ意義を見出せないとの判断があってのことだろう。この辺は当人の裁量なので「もうちょっと金使えよ」とか言っても始まらない。

楽しみを味わうならもっとお金を入れないとダメというこの大前提が、パチンコ・パチスロを知る人間にとっては当たり前だけど、それってやっぱり異常なのだと改めて気づかされた。

それよりも重要なのは、1000円使って「もう1000円」と思わせることができなかったところにある。1000円入れて「つまんねえ~」と初心者に思わせる台。それをズラリと並べて「さあ金を入れてくれ」というのが今のパチンコホールなのだ。

初めて打った人に「何が楽しいんだか」と思われてさっさと退店される状況。これを作ったのは果たして誰なんだろうなぁ。

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