
画像はイメージ(AIで作成)
自分がゼロから手掛けた成果物を、何もしていない他人に横取りされることほど腹の立つことはないだろう。特にクレジットに自分の名前が載りにくい業界では、理不尽な横取りが平然と行われていた時代があったようだ。
投稿を寄せた東京都の60代男性は、かつてあるゲームの制作でシナリオを任された。
「シナリオがゲームの進行を決めるもので、画面上のある場所にカーソルが合うと、ヒントや次のシナリオが出てくる、というような簡単な仕様でした。普通の脚本や台本と違って、絵コンテ参照の指示も絵コンテも描きました」
シナリオが完成し、有名な監修者のチェックを経て開発のゴーサインが出たという。(文:篠原みつき)
一から全て作成したのに「あまりにゴーストライター」
指示書や絵コンテのやり取りが続き、完成が間近になった頃、スタッフのクレジットが上がってきた。しかし、その内容は衝撃的なものだった。
「そこにはあの高名な監修の方の横に座っていた“マネージャー”といわれる人の名が、シナリオの所にあり、私はスペシャルサンクスの欄にありました」
男性によると、本来自分が担当したシナリオが別人名義になっており、「あまりにゴーストライター」と憤りを隠せなかった。
男性はそれまでも名前が出ない仕事を経験していたが、今回ばかりは到底受け入れられなかった。
「今回だけは一から全て、絵コンテや仕様も全て、私が作成したもので、どう考えてもその“マネージャー”には書けるハズがない。なぜなら、ゲームシナリオを書いたことのない人だったから。いくつかあるゴーストライター仕事の中で、これだけは許せない」
当時は功績の横取りが業界内で黙認されていたようだ。男性は「当時はそんな事ザラだった、当たり前じゃないかという正常異常が支配していました」と振り返る。
功績を横取りした人物と数年後にまさかの再会
そのゲームは当時としては珍しく10万セットを販売するヒット作となったという。男性もそのソフトを貰ったそう。
「今もそのインスト(取説)のオープニング『はじめに』の頁には、私が確かに書いたプロローグが載っていて、数年前押し入れの段ボール箱で見つけて、懐かしさと無念でしばし見返した覚えがあります」
クレジット上でシナリオ担当になっていた人物について、男性は「どうなったのか、知りません。確か監修の方の事務所付きだったと思います。何もせずに横取りして、美味しいご飯を食べられたのか判りません」としつつ、後日、思いがけない場所で一度、再会したという。
「(都内の)ファミレスで知人と会ったとき、偶然そのシナリオ氏を見かけました。向こうも気づいた様子でしたが、こちらは当然声を掛ける気になりませんでした」
自分が生み出した作品がヒットしたことは誇らしくても、その功績を認められなかった悔しさだけは今も消えないようだ。
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