
画像はイメージ(AIで作成)
賃貸契約を交わした直後に、借り主が「現金を銀行から引き出してくる」と告げたまま姿を消したというエピソードが寄せられた。
「世の中には言葉の意味を理解できない人がいます」と投稿を寄せた埼玉県の40代男性は、15年ほど前に不動産賃貸仲介会社で営業をしていた際の強烈なエピソードを明かしてくれた。
当時、都内で引っ越しを検討していた30代男性のAさんが来店し、23区内の物件を内見してその日のうちに申込みとなった。入居審査も無事に終わり、いよいよ契約日を迎えた。(文:篠原みつき)
「契約日当日、なんだかAさんがそわそわとしていたので心配しましたが、本人に聞いても何でもないとのことで、そのまま重要事項を説明して契約の流れになりました。Aさんとオーナー様双方で署名押印し、契約は完了。あとは契約金として、仲介手数料や敷金、日割りと翌月の賃料の支払いだけでした」
「連絡が付かねえってことはキャンセルだろうがよ! 空気読めバカ野郎!!」
しかし、契約当日に現金で支払いたいと言っていたAさんは、契約完了後、「現金を銀行から引き出してくる」と言ってそのままいなくなってしまった。
「何度も携帯電話に掛けましたが出てもらえず、そのまま時間だけが過ぎました。結局、契約書類の中で記載のある保証人だった親御様に連絡し、事情を説明しました」
契約が完了しているのに入金がされていないので鍵も渡せず困っている旨を伝えると、「すぐに連絡させる」とのことだった。
1時間ほどして店舗にAさんから電話が来たものの、電話に出るなり豹変した怒声が響いた。
「てめぇ! 実家にまで電話しやがってなんなんだよ!!」
「すみません。契約後、銀行に行かれたままお戻りにならず、ご連絡も取れずにこちらも困っていたものですから」
「連絡が付かねえってことはキャンセルだろうがよ! 空気読めバカ野郎!!」
意味不明の主張に困惑したが、契約が完了しているため男性も言い返した。
「Aさん。すでに契約書に署名、押印までいただいて、この賃貸契約はすでに成立しています。おっしゃっている主張がよくわからないのですが、契約を気にするのでしたら、契約書の内容に則って、契約解除の違約金、そもそも契約金もいただいてないですが、しかるべき手順を取ってください。契約の意味、わかりますよね?」
しかし、Aさんは「まだ住んでいない」「金も払ってない」「手付金を返せ」と言いたい放題だったという。
「では、弁護士に相談のうえ、しかるべき対応をいたします」
話にならなかったため、男性もいい加減イライラしてしまい、
「では、弁護士に相談のうえ、しかるべき対応をいたします」
と言って電話を切った。社内でも問題になり、「契約書に署名押印がある以上強気に行け」と承認を得た男性。再び親に連絡して事情を話すことになった。
結論から言うと、この契約は白紙になったという。オーナーも「そんなわけのわからないことをする人には入居してほしくない」との意向で、双方の契約書を回収して廃棄することになった。
Aさんの親からはお詫びの連絡があり、身勝手な行動の理由も判明した。どうやらAさんは契約日前にほかの部屋の入居審査をしており、男性の店舗での契約中にそちらの入居審査が通ったため、「そっちの部屋にしたかった」とのことだった。
「『契約』というものの重みを理解していない突飛な行動に辟易しましたが、親御様は良識ある方で助かりました。申込時に手付金を預かっていましたが、親御様から詫びの手数料で返さなくていいとのことでしたので、オーナー様に相談したところ、仲介手数料代わりにしてほしいとのことで、売り上げだけいただけた結果になりました」
「連絡が取れない=キャンセル」という独自ルールを押し通そうとしたAさんだったが、店舗側が徒労に終わることだけは避けられたようだ。
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