つまり会社から一方的に移動が制限されていたのだ。上司が告げた、その理由は
「独身のお前ごときにそんな権利はないというのと、何かあった時に仕事に差し支えるとのこと」
なんとも理不尽な命令だが、男性は健気にもこれを守っていた。
「結局、退職するまで7年間仕事以外では実家に帰っていない。そのため事故で親が昏睡状態の時もずーと放置することになった。実際のところは私以外の東京組は休みの日は好き放題していたため、上記の話は部長の機嫌が悪い日に運悪く当たっただけであった」
上司の気まぐれのような言葉を誠実に受け止めていた男性。しかしそこはブラック企業。そんな真面目さに報いることはなく、男性は最後までひどい扱いを受けた。
「退職時には有休残が38日あり、会社からは表向きは退職日を延ばし全消化の告知があったが1日も認められなかった」
というのだ。男性は、「そもそも弁護士に奴隷以下と言われるくらい舐めた扱いをされ、社畜として働いたことが今となってはバカバカしい」と後悔をにじませた。