「大学進学を蹴り、21歳で野心のまま経営者になった」という男性。
「しかし最初の10年は、社員も取引先も学がない。当時はまったく気にしなかったが、今思えば自分含め皆、報酬が低かった。経営が良くなるにつれ社員も大卒が増え、取引先のレベルもあきらかに変わった」
男性は、40歳手前を迎えた頃「高学歴の同世代の人間が、自然と話の合う仲間となり、それに比例するように自分の年収も上がっていた」と振り返る。
「ふと気づくと、仲間内で大卒じゃないのは自分だけ。やはり大学の存在は日本社会では大きなアドバンテージになっていると思わざるを得ない」
「努力は実るよ」という言葉に説得力が増す?
男性は、「前までは思いっきり学歴コンプレックスでした」と語る。現在も学歴は「必要」だと考えているが、自身の学歴について「『今』は不満はない」と答える。というのも、「学歴がないことが、今となってはある種の説得力に変わって」いるというのだ。
「例えば、『努力は実るよ』的なことを、良い大学を出て1000万円、2000万円稼いでいる人が伝えるのと、学がなくどん底を這い上がった上で同じくらいの年収を得ている人では、相手の受け取り方が違うことを、最近メリットに感じるようになりました。特に経営者だとその効果はマネジメントに現れやすいです」
実力と努力で経営者になった男性だからこそ、学歴や仕事の実績に対するリアルな反応を感じ取っているのだろう。