事務・管理の仕事をしている東京都の50代男性(年収750万円)は、大学卒業時に入社した印刷会社が「ブラックでした」と振り返る。
「試用期間の3か月は基本給4万円/月で、残業代はなし。本採用後は正社員として14万円/月は貰えましたが、その残業の計算方法が異常でした」
正社員とはいえ基本給が14万円では頼みの綱は残業代になる。ところが、残業代は時給ではなく、終了時間によって金額が数百円変わるだけという意味不明のシステムだった。
「定時の17時から20時までは800円、22時までは1500円というので、てっきり時給だと思っていましたが違っていました。800円なら800円×3時間で2400円貰えるかと思っていたが、20時までが800円でした。また22時までが1500円というので、(800円+1500円で)2300円になるかと思ったら、22時までが1500円でした」
つまり22時まで5時間残業しても1500円しかつかない。男性は「時給に換算すると20時までで約267円、22時になると300円でした」と振り返る。
「時給250円という恐ろしい金額です」
男性の職場は残業が異常に多く、22時以降の残業も多々あったという。しかし「22時以降は通常の時給の75%という、労働基準法も最低賃金も守らない会社でした」と明かす。明らかに人件費を安価な残業代で済ませようという意図が透けて見える。
「私は120時間残業と休日出勤をして、貰えた時間外勤務手当は3万円程度でした。時給250円という恐ろしい金額です」
男性は3年半勤めたものの、「社員は薄給なのに社長一族は想像を絶する収入を得ていた」ことを知ってしまった。
「自分の体が壊れてしまう恐れがあることと、未来に希望がないので退職しました」
と正しい判断を明かした男性。50代の現在、年収750万円の仕事に就いていることが救いだ。